The Kingdom of GodU
□第五章 彼の玉座
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「皆さん、確かに私は秘め事をしました。しかしそれは今日の日のためです。」
人々は驚き、そして喜びの声を上げる。下手に出ることにより大統領の立場は回復したのだ。
彼は壇上まで上がり、ほんの少し前まで玉座として使われていた椅子までたどり着いた。
「今宵のパーティーは知っての通り王の血筋のお方のお披露目を兼ねてBFRが主催しています。今日多くの方が候補から外れることになるでしょう。」
興味と絶望の不協和音で会場が揺れる。まるで人間の欲の塊を表したような叫び。
いきなり行動に移った大統領に驚きを隠せず、上の空で彼を見上げているとすぐ近くに組織のメンバーが現れた。そして目の前にいるレイを背後から抱えると歩き始めた。
私は拉致された時と同じように再び彼に手を伸ばしたがその手は虚空を掴む。
「まっ……」
暴れる彼に構わず壇上の椅子へと連れて行った組員は雇主の指示を受けて下がった。高い壇には大統領と彼しかいない。