The Kingdom of GodU

□第五章 彼の玉座
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「ルカ!離してよ。」

私は振り返り、怒りを後ろから肩を押さえている男性にぶつけた。彼の辛そうな赤褐色の瞳が私の何かを責める。勢いよく正面に向き直り、彼の位置をを確認した。

偉そうな中年男は彼の右腕を掴むと袖を巻くし上げる。そこには彼が常日頃から隠すように身に付けていた金色のブレスレットがあった。

会場の空気の流れが変わる。男性には細すぎる腕輪は彼の肉体に食い込んでいて少々グロテスクだったからだ。左の手首の太さと比べると差が明らかで痛々しい。

始めてまともに目にしたが剣に蔓が巻き付いているというデザインで、瑚珀に近い半透明の緑石が埋め込まれている。

彼は慌てて隠そうとしたがすかさず四方八方から取り抑えられて動かなくなった。その横から老人がルーペを持って現れ、まじまじと腕輪を観察している。

「間違いない、御三家の出身であるティーシャ様の腕輪じゃ。」

鑑定士は絞り出すように結論を言うと感動で動かなくなった体を組織員に連れられて舞台裏に姿を消していった。周りが再び声を上げる、その中でルカも感嘆の言葉を述べていた。

男は誇らしげに説明を加える。

「ティーシャ=ライディエン后は一度国から離れ、数年後に戻ってきたところを夫に殺された。この腕輪は王族の女性用、それが男の腕に傷一つなくぴったり収まっているということは子供のころに与えられた証拠。」

辺りがうるさいのに悠々と述べる言葉は衰えることを知らない。
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