The Kingdom of GodU

□第五章 彼の玉座
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「ルカ=ヒース」

唐突に名を呼ばれて焦る男性、彼の周りの人々が一斉に彼を避け私と彼のところだけ少し余裕ができた。

「ティーシャ后のことについて聞こう。夫である王から拷問を受けた際、とっさに挙げた名があるそうだな。」

彼は唾を飲み込み込んだ。今まで排除しようとしていた歴史に頼ろうとする男の姿勢に怒りを感じたのだろう。

「『関わった人間を抹消する』という脅しに対して歯向かったそうですが、一人だけ名前を口に出したそうです。『レーウィン』という名だったと記録されています。」

その言葉で結論が見えてきた。認めざるお得ない真実、それは今日王子となる青年に。そして私はある事を思い出した。

情報を教えてくれた本人はこの騒で忘れているようだったが不安と焦りが胸を支配する。

悲痛な叫びが届いたのか中年太りした壇上の男が私を瞳に映した。少し間を空け、彼はニタリと笑う。一瞬で私を突き堕とすには適した笑顔だった。
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