The Kingdom of GodU

□第十章 暗闇は光を包んで
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今回の主役のような人々が揃っていたので客の視線が四方八方から降り注ぐ。テーブルが用意され、私達はそれを囲むように配置に付いた。

出てきた飲み物はふんわりと甘い香りが漂う紅茶だ。大統領は「皆に味わって欲しいから」と彼の娘を含めた四人にだけ振る舞った。

ロゼという大統領の娘の顔色は更に悪くなっていた。彼女は意を決したかのようにカップを取る。

「いただきます。」

少女が飲み込んだのを確認して、私達も飲んだ。そのとき彼女の瞳が驚愕で震えていたことに私は気がつかない。

脈拍が速くなるに連れて息をするのが苦しくなり、視界がボヤけてしまう。少女が倒れる音に続いてルカが緩やかに膝を付いた。やはり具合が悪かのだと彼女の心配してからルカの異変も気に掛けた。

手元のティーカップが指から滑り落ちて私自身も床に伏せる。必死に名前を呼び、掛けよってきた青年の眼差しはもう見えなかった。そして突如襲ってきた衝撃で意識が途絶えてしまった。








体が燃えるように熱い。けれども末端はとても冷たくて、徐々に体の中心へと侵食していた。

それはロウソクのようだった。命の火が消えてしまうと使い物にならない体、どんなに願っても溶け出したロウのように動かない。

炎が弱まる度に深い深い闇が迫ってくる。







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