The Kingdom of GodT

□第九章 広いホールの大きな混乱
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『来たわよ。お姫様のお出ましだわ。』

楽しそうにヨニナ=アイザック=キスリングが言い、会場内の視線が出入口に集まった。

会場が静まった。

『……あの…?』

会場があまりにも静かな上、皆コチラを見ているので話すのを止めてしまった。

話題の少女のドレスは暗いピンクを基調とした真紅の宝石がところどころ散りばめられているものだ。それと同じ宝石のネックレスが輝いている。

緑色の髪は一つに結わえられていて、髪留めと胸の真ん中にあるブローチは生花の真紅の薔薇だ。

『綺麗ね。』

『いゃ、でも…メイジァ様も…。』

『もしやあの髪と瞳の色…シュトラウス家の令嬢では?』

『彼女が汚れた血を持つものか?でもなんと美しい方だ。』

会場が再び騒がしくなった。ヴァイオット家のお嬢様に遠慮しているのかメイジァの方が良いと言う動きもあったが、色々な意味で噂の少女の方が優勢だった。
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