The Kingdom of GodU

□第十一章 聖水の中で眠れ
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「皆さん静粛に、これは私から王子へのプレゼントです。」

胸に渦巻く靄が一瞬で引き裂かれる。その声の主は大統領ラリー=ウェッジリーグだった。

「王子、貴方がなぜ他の三人とは違って何故無事なのかわかりますか?」

にんまりと怪しい笑みを浮かべる中年の男の顔に、無性に苛立ちを感じる。公衆の面前でなければその醜い顔をより醜くするつもりだった。

「貴方は王族だからです。王は幼い頃からあらゆる毒に慣れさせられています、つまりこの毒に対する抗体を受け継いでいるのです。」

会場はざわつく。一番驚いていたのはラリー大統領の臣下として政治を行なっている他の政治家達だ。


余談だが“Blood of former royal”という王族血筋探しを企画したのは政治家達だが、人気取りのために大統領が独自で実行している。つまり他の政治家は国のトップが人を拉致してることすら知らないのだ。

本当にばかげたお遊びだ。こんなヤツのために命を落とす者がいる企画なんて。




「ウェッジリーグ、毒を盛ったと言ってることに気が付いてるか?いますぐ解毒薬を出せ。」

大統領は怪しい笑みを称えて彼の娘を見た。コーラル異常に青白い顔色の少女向かって話しかける。

「起きなさいロゼ。お前が王子にふさわしいことを証明するのだ。」

その一言で会場が煩くなった。父親の呼びかけに反応しない少女、男はカッとなって彼女の長い水色の髪を鷲掴みした。

「なにをやっているこの豚、今日のためにお前を生かしてやっていたんだ。仕事をしろ!」

その言葉に誰もが口をつぐんだ。国のリーダーである男がこのような行動をしているのだ、彼を信じていた誰もが非難の目を向ける。しかし大統領はそれに気付かない。
父親は怒声を浴びせても起き上がらない娘を投げ飛ばす。それを受け取ったのは近くにいた赤毛の青年、ルカは先ほどより少しだけ顔色が良くなっている。

「使えんやつめ。」

そう吐き捨てるように言うと大統領は手を二回叩いた。





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