The Kingdom of GodU

□第十三章 光を求める人達
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「悪いが少しの間持ちこたえてくれ。」

王子の返事も聞かずに青年は私を連れて素早く外に出た。そのときちょうど入れ違いに二人の武装した男達がホールに入るのを間近でみて、数秒後会場から多数の発砲音と悲鳴が轟いた。




彼らは私が幼い頃から家に出入りしている人達で、父が陸軍にいた時からの部下であり王を滅ぼした国民革命の初期から父に加担していた人物でもある。

今は大統領直属の特殊警察官として反対派の人を捕らえることが仕事だと聞いているが、私は今まで言葉の通りに受け流していたことがわかった。

二人の顔は一切似ていないが、何を考えているのかわからない蔑むような虚ろな瞳と武器を片手に口元がつり上がっている表情は瓜二つだった。周りの音がじわじわと心に届き、泣き出したくなる衝動にかられた。

(私はこの人生の中で、何を信じれば良かったの?)





ルカの脇腹からは血が道標のように床に落ちていき、私は流れ出しそうな涙を必死で堪えた。

解毒剤を服用してもなお気だるい体に鞭打って、彼に追いつき太い腕を自分の肩に掛ける。無言で脇腹に入るような真似して驚かせてしまったが、少しだけ体重をかけてくれた。

「なぜ、私を助けてくれたのですか。」

「人が危ない目に遭っていたら助けるのが当たり前ですよ。」

彼は笑いながら言った。けれども不意に真剣な表情になりまっすぐに私を見下ろす。

断る理由なんて初めからない。私は親ではなく彼の手を取った。




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