The Kingdom of GodU

□第十三章 光を求める人達
5ページ/5ページ




「幸せになるのよ、リーベラ。」

赤々とした業火が取り巻く中、私の口から知らない女性の声が出た。そして皺が入った私の手が女の子を付き落とす、丸い瞳をより一層丸くした少女の瞳は碧色、だけれども急に煌めきを増した激しい炎の光に彩られて一瞬だけ薄い青になった。

(……ママ?)

私に突き落とされたのは紛れもなく私の母親だ。なのに安心感と満足感で胸がいっぱいになったのだ。そして天井が崩れて辺りが暗くなり、私は湖の中で瞳を開いた。

透き通った水は長い生涯で唯一愛した彼の瞳と同色で、遠い昔に失ってしまった温かい眼差しに包まれているようでとても幸せだった。

自分の胸部から汚れが抜けていき、魂の浄化が始まる。長い間秘めていた彼との思い出が私の魂から消されてしまうことに戸惑いも感じないほど幸福だった。

そんなとき穏やかだった水面に波が立ち、女神様が現れたのだ。黒髪に黒い瞳の少女が水の外の世界から私を覗き込んでいる。その瞳には抱えきれないほどの涙を浮かべ、その雫が再び波紋を生んだ。

(私は……。)



驚愕に震えるホールの中で、少女はゆっくりと瞼を開いた。







.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ