The Kingdom of GodU

□第十四章 かけがえのないもの
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旧イリュシェ共和国は芸術や建築が著しく発展した国であり、政治の中心となった城は当時最先端の技術を駆使して建てられた。

謁見の間、現在のホールに用いられている“吹き抜け”もその一つだ。廊下に飾ってある絵画や部屋の装飾品にも非の打ち所がない。それゆえ地下に収容施設が存在することが分かるまで、無駄に広大な裏庭が疑問視され続けていた。

国の遺産として保存されている宮殿とは異なり、裏庭地下は現役でも刑務所として使われている。

牢に入っている罪人の中で一番有名な人は誰かと問えば、皆が口を揃えて“シュワォール=ライディエン=グリール”と答えるだろう。王族の生き残りという理由で大統領に終身刑に処されたからだ。

二つの国でほぼ同時期に起こった革命では、両国とも王の血を引く者すべてが国民の手によって処刑された。しかし彼は暴君が治める治世下のあらゆる政策で、民を苦しませないように働きかけた功績が認められ命を落とさずに済んだのだ。

豊富な知識を用いて、今後の国に貢献する予定だったとも言われてた。

しかし同時期に戦勝国で起こった革命の実行者である現大統領の命令により牢に入れられたのだ。二国間に渡る大統領の独裁政治が始まったのはこの時からだ。


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