古戀路
□第三章 少女の心は痛く深く
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第三章 少女の心は深く痛く
『まぁ、それではメーシェルロイド姫とフィアンはお知り合いでしたの?』
朝食の席で女性が騒ぎ始めました。黒髪に青い瞳の女性はそろそろ五十歳になる筈でしょうが、それを感じさせない身も心も若い方です。
彼女の横には姫と同い年くらいの青年が居まして、あまり今の話題に参加せずに出された食事を食べていました。そのような青年を視界の端に入れつつ姫は首を縦にふりました。
この国の王妃である女性は嬉しそうに微笑みますと、左手でいきなり息子の耳たぶを捻りました。