古戀路
□第四章 幸ある夢から覚める音
1ページ/13ページ
第四章 幸ある夢から覚める音
姫様は庭の奥に走って行きました。景色がものすごい勢いで変わり、気が付いたら城の門の前にいました。
この国の城には二つのの出入口があるようで初日にくぐった門とは違い、あまり使われていない裏門の前でした。
もう何年も使われていないためか鉄が錆びていて、周りは雑草だらけでした。
いくら幼い頃毎日庭を散策されていた姫様でも好き好んでこのような場所に来たわけではありません。ある少女を探しに来たのです。
しかしその人物は見当たりませんでした。周りは昼間にも関わらず暗い上、視界が悪いので遠くが見えません。
このような場合、人は音に頼るものです。例外ではなく姫様も肺に空気を溜め込みました。
『セディアさん、何処にいらっしゃるの?』
木霊として響く声、姫は何度もしつこく呼び続けました。
少女から返事が帰って来たのはそれからまもなくのことです。