The Kingdom of GodT
□第九章 広いホールの大きな混乱
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第九章 広いホールの大きな混乱
午後六時――――――――
『それでは皆様楽しんで下さい。』
会長のスピーチが終わりパーティーの開幕を迎えた。
舞台から降りるとオーウェンの周りは大勢の人達で賑わっていた。お祝いの言葉を言うために集まってきた人達だ。
押し潰されそうになりながらも一人一人お礼を言う、そんな中に二人の少女が違う理由でオーウェンに近づいて来た。
『もう逃げられませんよ。』
不吉な言葉を掛ながら周りの人を押し退けて目の前に立ったのはやはり栗毛女の方だ。
制服から薄い黄色のドレスに着替えていても周りを取り巻く空気は変わらない。そしてキンキンした声で広い会場全体に響き渡るように叫んだ。
『メイジァお姉様をダンスに誘わないとはどういうことか今、この場で説明して頂きたいわ。』
会場全体の視線が一点に注がれる。本当に逃げられなくなった。
『サティ、いいのよ。オーウェン様に嫌われた私がいけないの。』