The Kingdom of GodT
□第十章 そして光は闇に消える
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第十章 そして光は闇に消える
『良かったわ、リーベラちゃん。』
キスリング家の夫人。ヨニナが近づいて来た。オーウェンが何故か着替えをしなくてはいけないらしく、席を立っている。
『ありがとうございます。』
花のように微笑むリーベラはかなりご機嫌らしい。先程まで喧嘩していた少女は可憐に生まれ変わっていた。恋をすれば皆こうなるものである。
ヨニナは顔を歪めた。どうやら少女は何も知らないようだ。パーティーの本来の意味を。いゃ、知っているのかも知れないが裏の意味はしらなさそうだ。
息子はきっと怖くて言えないのだろう、何も知らないこの笑顔が自分の存在で消えてしまうことをしっているから。
『息子の我が侭を聞いてくれてありがとう。』
彼女にはこれしか掛ける言葉が無かった。自分の口から言うことが出来ないと悟ったからだ。胸が苦しくなる。息子だけではなく、彼の大切な人まで苦しめてしまった。