The Kingdom of GodT
□第十一章 終わりは一瞬、別れは唐突。
1ページ/12ページ
第十一章 終りは一瞬、別れは唐突。
『あらメイジァちゃん、こんな所にいたの?』
菫色の髪の女性がにこやかに一人で姿を現した。武装は何一つしていない姿で…。
対してメイジァは体格の良い二人の男に囲まれている。二人とも盗まれたと騒がれているサーブルを持っていた。
『奥様。武器一つ持たずに会いに来るなんて頭が悪いにも程がありますわ。それともあの女のようにサーブルでも隠し持っていますの?』
猫を被るのに限界が来たのか性悪女に変貌している。その顔には先程悔しい思いをさせた相手に対して戦意剥き出しだった。
『そんな顔しちゃ勿体無いわ、美しい顔なのに…。性格ブスをずっと隠し持っていたなんてね。息子が貴方に好意を持たなくてよかったわ。』
いつもと変わらない笑顔ですらすら嫌味を言うヨニナはとてつもなく怖い。
『学校の備品を盗んだ者は牢屋行きよ。わかっているわよね?』
『冗談じゃないわ。私はオーウェン様が戦争で戦死した後のキスリング家とすべての人を支配するのよ。平民の税を上げて優雅な生活をする、そんな私に牢屋に入れですって?奥様、貴方には一番最初に死んでもらわなくてはいけないようね。』