The Kingdom of GodT

□第七章 憂鬱の闇に光を
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『そんな、オーちゃん何時から不良息子になったの?私悲しいわ。』

そう泣き叫ぶオーウェンの母親、ヨニナ=アイザック=キスリングは優美な人だ。髪は優雅に波打っていて腰まであり、その髪と同じ菫色の瞳は優しい印象を与える。

控えめで大和撫子タイプ、多くの人から篤い信頼を集めている元アイザック家のご令嬢だ。

同時に一部の人から「英雄」と呼ばれている。理由は後ほどわかるだろう。

しかし彼女が控えめなのは他人限定で身内にはとても大胆だ。息子のオーウェンに関しては溺愛している。つまり親バカだ。

『昔からです。そしていい加減「オーちゃん」って呼ぶのやめて下さい。』

『ま、まさか反抗期ね。オーちゃんにもこの時期が来るなんて…これも母親として乗り越えなければならない一つの試練だわ。この時期の息子は怖いってよく聞くわ。壁に穴空けたりとかしちゃって…あぁ怖い。』

そういう彼女は楽しそうだ。だんだん呆れてきた。そんなときに母親に勝る強敵がやって来た。
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