連載

□致命的なバグ
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どこのクラスもガヤガヤと賑わっている。
昼休みの文月学園は今日も平和だ。

いつも通り明久達もバカ騒ぎをしている様子で、『ここ』からでもアイツの断末魔が鮮やかに聞こえる。

Fクラス

近いようで、果てしなく遠い






「………ん、ん…んぅ」

規則正しく響く水音
それと同時に俺の頭が前後に動く。

口でするのは…苦手だ。

大きすぎると舌が疲れるし、何より俺自身は気持ち良くない。
本当は相手に解して貰うはずの後孔も、時間の都合でセルフで同時進行だ。

本当はその長い指でシて欲しいのに。
何が悲しくて自分の指で…


「…………も…や、だ……雄二」


廊下の向こう側から聞こえてくるFクラスの騒々しい声。
そこから廊下を一つ隔てた文化部室での秘め事。

昼休みにも係わらず『ここ』は周りの喧騒とは掛け離れた、まるで異空間のような静けさだった。

なんか不思議だ。俺達もついさっきまでは向こう側にいたのに。


「もーちょいだけ…な? 康太…」


優しい台詞とは真逆に、頭を抑え付けられてガクガクと揺さぶられる。何度も、何度も。

「…………っぐ…、んむ、んっ…!」

大きすぎて、嗚咽を漏らしながら喉奥までくわえ込んでもまだ余る。

苦しい

苦しいはず、なのに

「………んぅ…んっ…ふぅ…」

捕まれた前髪から、痛みとは別の、ジンジンするような感覚。

……。

嫌、そんなはず無い。
それじゃまるで俺…取り返しのつかない変態だ。

「…こっち、見ろよ」

掴まれた前髪をグッと持ち上げられる。
…ずくん、
己の中心が硬さを増す感覚。

無理矢理されてるみたいで、正直燃える。


何度も喉奥を突かれたせいで生理的な涙で目の前がボヤけてきた。
こういうの、更に相手を煽るんだって某漫画に書いてあったな…

「たまんねーな…そのツラ」

興奮したオスの声に下半身が疼く。
雄二が俺に…欲情してるんだ。男の俺に。
俺の喉の奥に無遠慮に腰を突き入れる程に。

「…………ん…んっ…ぐ…げほっ!げほっ!」

「おい……大丈夫か?」
 
無理矢理させておいて何を今更。
雄二らしいけど、そんなの良いから。そんなの求めてない。

そんな心配するくらいなら、早く…

「…………平気、だから」

唇の周りが、自分の涎でべたべたする。
目に溜まっていた涙は気付かないうちに頬を伝ってきた。

なんてだらしない顔。

でも雄二、お前…
俺のこの顔が、好きなんだろ?

「…………はやく…雄二の、挿れて…?」

我慢できなくて、上目遣いで止めを刺す。
瞬間、雄二の喉仏が上下に動いたのを見逃さなかった。

しかし勿体無い男だ。こんなに周囲には女が溢れてるのに。
雄二の事『イイな』って思ってる女子だって、霧島のせいで表に出てこないけど本当は結構いるのに。


男に欲情…か。
人の事…言えないけど。


「康太…」

雄二の低い声から、この後の展開を期待してしまう。
雄二が興奮してるのが空気を通して伝わってくる。

早く…欲しい…

待ちきれず、いそいそと下半身の衣類を床に脱ぎ捨て、机に手をついて腰を突き出す。

ムードもへったくれもない。だって昼休みには限りがあるから。

「お前、後ろからの方が…良いのか?」

「…………?」

雄二らしくもない歯切れの悪い問いかけ。
どういう意味だ、いつもは何も言わずに後ろからこう…


あ……

そういう事か。


「…………俺の顔、見ながらシたい?」


やっと意図が掴めた。
雄二、可愛い。


「あ、いや…その…だな…」

「…………俺も、たまには別の体位がいい」

雄二は俺の発言に対して呆れたようにため息をついた。

「…そーかよ」

性急すぎたか?ちょっとぐらいムードも必要か…

そう思って、慣れない笑顔で取り繕う。
実際はちょっと口の端が持ち上がったぐらいだろうけど。

「……んっとにお前は…」

ぎゅ、と広い胸の中に包み込まれた。
…ヤる気になってくれたみたいだ。

だって、ここで終わられては困る。
そそり立った雄二のモノと同じくらい、俺の後ろだって準備万端なんだ。


それにしても、雄二はいつもまるで愛しい彼女でも相手にするみたいに俺を抱きしめる。


雄二は…こんな淫らな俺の何処が好きなんだろう。
 
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