カラ松恋愛事変
□カラ松恋愛事変
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橋の上を渡ると、いつも川の方を見て黄昏ている人がいた。
その姿は妙にカッコつけていて、彼の周りを歩く人はみんな離れて歩いた。
わたしもその一人だった、変な人だな、なんて思いながら離れて歩いた。
ある時、そんな彼が愛用のサングラスを外している時があった。
いつもなら隠れて見えないその瞳が、なんだかとても寂しそうだった。
彼はいつも川を眺めている。
サングラスの下で彼はいつも何を思っているのだろう。
サングラスをかけて、女の子の方をちらちらと盗み見る変な貴方と、川を眺めて寂しげな背中を見せて黄昏れる貴方。
何度もすれ違ううちに、わたしは二面性を持った彼に興味を持っていた。
頭も腕も足も包帯でぐるぐるあんなに怪我をして何があったの?
また寂しそうな背中を見せて、
抱きしめてあげたい。
そう思ったら、いつも敬遠して離れて歩いていた私が、一歩足を踏み出していた。
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