カラ松恋愛事変

□異変
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カラ松が家に帰ってきた。
何日も家に帰ってこないカラ松に、流石に今回は度が過ぎていたのではないかと反省したおそ松達5人はカラ松を探しに行った。

どこを探しても見つからないカラ松に、兄弟たちは涙目になって探し回った。

いつも兄弟に優しいカラ松が本気で怒ってしまったのではないか。
戻っこなかったらどうしよう。
兄弟たちで隈なく探して、ようやくカラ松を見つけた。

カラ松はベンチに座っていた。
その体は包帯に巻かれとても痛々しかった。

ごめん、本当にごめん
悪気はなかった。
誘拐したのがチビ太だったから、
あの時本当に眠くて、
チビ太と組んでいたずらをしてきたかと、冗談だと思った。

皆が皆反省を述べて、カラ松に謝る。
いつも自分にだけ扱いが酷い一松でさえ頭を垂れた。
エスパーニャンコが『ごめんね』と告げる。
そんな兄弟たちと猫に、カラ松は目が点になり、そしていつものように笑った。

「怒ってないよ。」

みんな仲良く笑い合いながら家に帰った。

カラ松のために残しておいた梨をみんなで分け合って食べた。

そこまでは、兄弟たちは何も疑問もなしにその現実を受け止めていた。
だが、カラ松の様子が変だと、幾日か経って気づいた。




ひたすらに窓辺に座り空を見上げる。
その右手には誰のか分からないハンカチが握りしめられている。
兄弟がからかうが、いつものようなカッコつけに迫がない。

やっぱりまだ怒っているのだろうか。

そう兄弟たちは不安に思うが、カラ松は否定する。

「お前たちの言葉、嬉しかったぜ?
松野家に生まれし次男、やはり必要とされ天命を受けた男だったか。」

そう言ってかっこつけるカラ松に心配して損した〜と兄弟たちは散り散りになってその場を離れていく。

いつも通りなのだが、いつも通りではない。

何かがおかしい。
そのおかしさを醸し出しているのは、その右手に持つハンカチが証明していた。

「なぁ、カラ松。そのハンカチ、誰のだ?」
「…混沌の地に舞い降りた天使の持ち物だ。いや、女神だったか…」
「は?」

ハンカチを見つめながら、ぽっと頬を赤らめるカラ松を見て、気持ち悪さと、カラ松の中で何かが変化していることが見て取れ、
おそ松はこれから面白いことが起こるような、得体の知れない何かが襲ってくる焦燥感のような、よく分からない感情が湧き上がってきた。




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