カラ松恋愛事変

□ようやく会えたな俺のマイエンジェル
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何故か最近一松が一層自分に酷く当たるようになってきたように思える。
俺、何かしたかな…。

はぁ…とため息をつきながら川辺に目を向ける。
いつもの革ジャンとサングラスではなく、着慣れたパーカー姿を着て、今日は橋の上に来ていた。
時雨という可憐な名前の女性に想いを馳せるが、もうひと月も会えていない。

やはりあれは幻だったのか。
もう会えないのだろうか。

そう思うと、日にちが経つにつれてどんどん元気が失くなっていった。
それに追い打ちをかけるように一松からの当たりも強くなって、身も心もぼろぼろだった。
もう諦めてカラ松ガールズ達に元気を分けてもらおうか、
髪も格好も仕草もばっちり決めて釣り堀などに行ってみるが、考えるのはいつも時雨のことばかりで、
今日なんて、愛用のサングラスを家に忘れる始末。
本当に、日にちが経つにつれて生気がどんどん失われていっているような気がした。


そもそも何故俺はこんなに彼女に想いを馳せているのだろうか。
1日しかあっていない。
話をしたのも数時間しかない。
名前しかしらない。
顔もひと月も経てば少し朧げになってしまっている。
それでも心は彼女がいいと叫ぶのだ。

あの月明かりに見せてくれた彼女の笑顔は、とても眩しくて、心をもって行かれてしまったのだ。

「はぁ…」

そう一つため息をつくと、誰かに肩を叩かれた。
誰だろうと後ろを振り向くと、一人の少女が立っていた。
その姿は紛れも無い、時雨本人だった。

「また会いましたね、カラ松さん。」

そういってニコリと一つ微笑むその笑顔は、俺が思い描いていたもので、
かっこつけるのも忘れて、一つ涙を流してしまった。

「え?!どうしたんですか?また何かありました?」

俺の前であわあわと慌てている時雨を困らせたくないと思うが、瞳から溢れる涙が止まらない。
静かに涙を流す俺を見て、時雨は一つ考えて腕をとった。

「一緒にベンチにでも座って、お話ししましょう?」

力強く俺の腕を引っ張って、以前一緒に話したベンチにまで連れて行かれる。
このか弱くて小さな手に触れたいと思った。
あの時は触れられなかったが、今またこうして再開して、時雨は躊躇なく俺の腕をとって連れて行ってくれる。
時雨にまた会えた嬉しさを噛み締め、またカラ松は涙を流した。とうとう見つけた俺の女神。



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