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□冨岡義勇
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五年ぶりに対峙した凛人は、凛人のままだった。
凛とした佇まいも、芯の通った声も、自分を見つめる強い瞳も、全てが凛人であることを表していた。
しかも、目の前で対峙している凛人は鬼の気配をまるで身にまとっておらず、本当に鬼かどうか疑わしかった。
目の前にいる凛人は、掴んだら消えてしまいそうな程の儚さも感じて、自分の夢の中から出てきたまやかしなのではないかとも思えた。
だけど、凛人は言う。
自分は鬼だと。
鬼として生きることを決めたのは自分だと。
今この場では決意を込めて堂々と自分に宣言したが、凛人のことだ。その内では凄まじい葛藤をしただろうことは手に取るように分かった。
鬼となった今でも、人を喰わず鬼を斬る。
凛人の精神力の強さを、再認識したようだった。
鬼となった凛人を見たら自分はどう思うのだろうか。
怒り狂うのか。軽蔑するのか。
落胆し心を病むのか。
実際に相見えたらまるで想像とは違った。
ただただ、嬉しかった。
凛人が生きていて、会話が出来ることが、また共に生きることが出来るのが。
抱きしめ触れた体からは温もりを感じて、改めて凛人が生きていることを実感した。
もう絶対に、凛人を手放しはしない。
そう、冨岡は心の中で思い、決意した。