□吉原篇 戦闘
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禍々しい気配と血の匂いが立ち込める吉原 遊郭
戦闘のため建物はほとんど倒壊し、見るも無残な姿となっている。

宇髄、炭治郎、善逸、伊之助は好戦した。
だが上弦の陸である妓夫太郎、堕姫の兄妹の連携に叶わず、傷を受け毒をくらい生死の境を彷徨っている者もいた。

その一人が、宇随天元であった。
毒が全身を巡り、痺れて皮膚の感覚もなくなり始め、皮膚も爛れ、心の臓も止まりそうであった。
だが、宇髄は諦めていなかった。頭をフル回転させ、自分達が勝つ為の譜面を作り上げるために必死だった。
そんな時、耳元で聞きなれない声が聞こえた。「動くな。そのまま聞け。」と。
視線だけあげると、そこには隊士の服を着た誰かが傍にいた。

「お前は鬼の毒で死ぬ。鬼の毒には鬼の血で対抗するしかない。」

そう言うと、そいつは自身の腕を切り、宇髄の口元へ持っていく。

「飲め。」
「嫌だね。」

麻痺しているはずの口を、ゆっくり動かしか細く発声する。
それに、隊士の眉がぴくりと動き顔を顰める。

「口答えするな、死ぬぞ。」
「鬼の血なんか飲みたかねぇよ。」
「血を飲んだからって鬼になるわけではない。」
「…そうか。なら派手に口吸いで飲ませてくれるなら考えてやってもいい。」

死に際であるにも関わらず、宇髄は啖呵を切った。
鬼の毒で死にそうなのも確かだ。だが鬼の血を飲むというのも抵抗があるし頼るのも癪だった。何より自身が鬼になることだけは絶対に嫌だった。
だが、そうはならないと奴はいう。
それを信じて良いものか疑わしかった。だが、それ以外に頼る者がないのなら飲むしかないだろうし。見上げた奴の顔が、あまりにも物悲しげで、そんな顔をするなと何故か言いたくなった。
差し出された腕に口元を持って行こうかと思った時、口元に何かが押さえつけられ口内に流し込まれた。

自身の腕から流れる血を口で吸い、宇髄の言った通り口吸いをして流し込んでいるのだ。
宇髄は驚き流し込まれた血液を思わず嚥下する。
むせ返りそうになるが、凛人はそのまま血を流し込み続けた。

「そのまま寝ておけ。」

一定を流し込むと、凛人はもう宇髄には目もくれず、その場から姿を消した。


凛人は伊之助の元へ行き、塞がってしまった腕をまた切り、伊之助の口元へ血を垂らす。そんな時、

「てめぇはこそこそ何やってんだよ、なああ」

十分に入りきる前に、姿を見つかってしまった。一瞬の隙で善逸の元へ行き、瓦礫を太刀一振りで大きな音を立て粗方どかす。
そんな様を見て上弦の陸 妓夫太郎は顔と体を掻き毟り不満を露わにし、気づいた堕姫が凛人へ着物の帯で攻撃する。だが、時すでに遅し。
善逸が瓦礫から抜け出し、堕姫の攻撃を防ぐ。
そして注意を反らした妓夫太郎の機会を伺い炭治郎が頭突きをかまし、先程雛鶴からもらった毒入りのクナイを妓夫太郎に突き刺し、動きを封じた上で炭治郎は首に刀を振りかざした。
善逸も堕姫の首に刀を振りかざす。
同時に首を切り落とせば勝利する。
炭治郎、善逸は必死に刀に力を入れる。
だが、妓夫太郎の力に押し戻され、炭治郎の刀が妓夫太郎の首から遠ざかる。妓夫太郎の鎌が炭治郎に刺さる。もうダメかと思われた瞬間、宇髄が間に立ち、妓夫太郎の鎌を受け止める。

「譜面が完成した!!!
勝ちに行くぞォォ!!!」

先程まで死にかけ、全身が痺れて碌に声も出なかった宇髄が大声で叫んだ。
宇髄が妓夫太郎に斬りかかる。だが首までもう一息足りない。そんな中を炭治郎が飛び、咆哮をあげながら妓夫太郎の首に刀を振りかざし斬りつける。
一方堕姫の攻撃が善逸に襲いかかっていた。その攻撃を凛人が全て斬りふせる。そしてその間を縫って、伊之助が堕姫の首までたどり着き、その首を斬りつける。

皆が皆、咆哮を上げる。
我らの勝利のため、鬼を滅殺するために!!

堕姫、妓夫太郎それぞれの首が宙を飛び、そして地面を転がった…。

最後の悪あがきと妓夫太郎の技が渦を巻いてその場を全方位攻撃した。
凛人はそれを見越して、そこにいる者が攻撃を受けないよう、傍にいる者は遠くへ飛ばし、逃げ切れない者の前に立ちはだかり一身に攻撃を受けた。
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