□鬼の血
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三人の嫁にこってり絞られた宇髄は笑うのをやめて、悪ふざけがすぎた、と渋々凛人と冨岡に謝罪した。
一方冨岡は最初は怒りがおさまらないといった風だったが、嫁になれと迫ったのも冗談だという言葉を聞いてなんとか冷静になれた。
一方凛人も宇髄の悪戯に苛つきはしたが、冨岡の形相に、あんなに怒って表情を変えることもあるのかと新たな冨岡の一面を知って驚きが勝っていた。

「まぁこの通り俺の体はぴんぴんしてるし怪我も治ってる。特におかしなところもない。」

そう言う宇髄に凛人はほっと息をついた。
珠世からの研究結果は直接聞いており、確信はあった。
だが、宇髄は瀕死の状態であり他に方法が考えつかなかったとはいえ、あの時の私は軽率に血を飲ませてしまったなと思っていたのだ。

「今回怪我の治りが異様に早かったのは、お前の血のお陰だったんだな。」
「…そうかもしれない。」

宇髄はへぇ…と凛人を改めて見て、やっぱり俺の嫁になるか?と軽率に聞いて隣に座る雛鶴に窘められた。
眉をぴくりと動かし鋭い視線で睨んでくる冨岡に、宇髄は思わず吹き出し笑いをこらえられない。

「ここまで執着してるなんて思いもしなかったな。派手に愉快だ。ならこのことは伏せておいた方がいいよな、凛人。」
「…このこと?」
「お前が口吸いしてくれたことだよ、言わせるな。」

伏せておいた方がいいだなどと言っておいてさらりと言い放った宇髄の言葉に隣に鎮座していた嫁達が、なんて事を言ってるんだ天元様は、と宇髄を見やる。
そして次に凛人と冨岡の方を見る。

「ただの人命救助だ。別に隠し立てすることないだろう。」

淡々と返した凛人に三人の嫁達は感嘆の声を上げる。
そして先ほどまで怒り狂っていた冨岡は大丈夫かと恐る恐る見やると、

「口吸いがなんだ、俺たちは閨を共にした。」

突然の爆弾発言に雛鶴とまきをは目を見開き息を呑み、須磨は「きゃっ」と歓声をあげ口に手を当てる。
宇髄はと言うと、一層目を見開き冨岡を見て、大口を開けてまたも豪快に笑い始めた。

「鬼と閨を共にしたか!これはまた派手でいいな!なんだ冨岡、お前鬼と夫婦にでもなるつもりか!」
「俺はそのつもりだがなんか文句でもあるか?」

さらりと言い放つ冨岡に、宇髄は笑いが止まらない。
そんな中冨岡の隣に鎮座していた##NAME1#もまた目を見開き、冨岡を見つめていた。
そしてその顔はだんだんと赤らんできて紅潮させる。

そんなの私は一言も聞いてない!!

「そんなの聞いてないぞ義勇!お前はどうして勝手に決める!」
「俺がそうしたいと思ったからだ。もちろん今すぐという話ではない。でもいずれは夫婦になりたい。お互いに愛し合ってるのだから当然だろう。」

恥ずかしげもなく飄々といい放つ冨岡に凛人の頬や体は更に紅潮し、こんなところで言うことじゃない!と声を張り上げた。

そんな二人の様を見て、実に愉快だ!とまた一層宇髄は大声で笑い飛ばすのだった。
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