□鬼の血
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自分がずっとひた隠しにして気づかないふりをしていた恋慕の情
再開後の日々の生活、煉獄への嫉妬や吉原失踪など紆余曲折を経て、自身の思いが膨れ上がり暴走しとうとう抑えきれなくなり、独りよがりな感情のまま思いをぶつけ、罪悪感に打ちのめされ後悔もしたが、結果受け入れられた。

「私の傍にいてほしい、愛してる。」

凛人の口からまさかこんな言葉を聞ける日が来るとは夢にも思わなかった。
冨岡は表情こそ出ないが、内心有頂天であった。

二人の思いは通じ合った。
通常ならこのまま祝言を挙げ新婚生活へ、となるのかもしれないが、二人の生活はなんら変わらなかった。
指令が来れば鬼狩りへ、
今までも衣食住を共にしており生活が変わることはない。

冨岡も、凛人も、いつも通りの生活を送っていた。
いつも通りの生活を送りながらも、冨岡は尚一層幸せを噛み締め凛人を大切にしようと誓った。
一方凛人は想いを交わしてから終始冨岡からの熱視線を感じていつかこの熱さに身を滅ぼされるのではないかと考えていた。




「天元は息災か?」

ある時、凛人に突然そう言われ、冨岡の眉がぴくりと動く。

「宇髄のことか?知らないが。」
「あいつ、私の血を飲んだんだ。」

さらりと言った言葉が唐突すぎてまるで事情が掴めず冨岡は困惑する。
説明を目で促すと、凛人は淡々と話し始める。

吉原に赴いた時、宇髄は鬼の毒にやられ生死を彷徨っていた。
鬼の毒に対抗できるのは鬼の血しかない。
一か八かと自身の血を宇髄に供給した。
その時は鬼の毒もなくなり、怪我を負ったこと以外は平気そうであった。
だが、鬼の血を飲んだのだから何かしらの副作用があるかもしれない。それが心配になった。
だから文でも送って状況を確認してくれないかと凛人からの申し出があった。

成る程と納得した冨岡はすぐに文をとり、さらさらと筆を滑らせ鎹鴉に届けさせた。

するとすぐに返信が来た。

自分の目で確認しに来い。
とだけ書かれていた。

お互いそれを無言で見つめ、「行くしかないな。」と身支度を整え指令がない事も確認して家を出た。
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