□幼馴染
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錆兎が死んだ。
私と義勇を残して、

「お前たちはここに残れ!」
「錆兎、私も!」
「お前も怪我してるだろ、義勇と残れ!俺が、全部斬ってくる。」

何故その言葉を鵜呑みにしてしまったのか、
何度も反芻して、
何度時間を巻き戻せと願い、絶望したか。

「俺が、俺が死ねば良かったのに…。」

目を覚ました義勇に全てを語り、義勇の発した言葉に共感してしまう私が確かにいた。
だがその言葉は錆兎に対しての冒涜でしかない。

「義勇、お前は何も分かってない。錆兎と何年共に過ごした。」
「…凛人。」

錆兎が死んだことを痛感するたびに、心にぽかりと穴が空いてるかのような、とてつもない虚無感に見舞われる。
だけど私たちは、

「命をかけて繋いでくれた命を、託された未来を、私たちも繋ぐんだ。そうだろう、義勇!」

何年も共に過ごし、死ぬかもとすら思えた鍛錬をこなし、全集中の呼吸を身につけ、岩を切り、鱗滝さんに認められて最終選別に向かった。
全ての境遇を錆兎と共に過ごしたからこそ受け継ぐものがある。

「お前が死ぬなら私も死ぬ。私を殺すなよ、義勇。」


泣きべそをかいている義勇にそう宣い、涙を堪え凛人は部屋を出た。
呆けながら凛人の背中を見届け、義勇はまた枕を涙で濡らす。

俺は、凛人ほど強くないんだ。あの三人の中で、俺は一番弱かったし、最終選別でも、怪我をまず先に負ったのは俺だ。
それを庇って凛人も怪我をして、錆兎が一人で鬼を狩りに行って死んだ。
全ての元凶は俺だ。一体の鬼も倒さず助けられただけの人間が、選別を通ったなんて言えない。言えるわけがない。
だけど、もう俺の大切な者が死ぬところなんて、見たくない。

義勇は傍にある布団を裂くかのごとく握りしめ、これからも戦うことを決めた。

全ての元凶となるは鬼。
それは姉を殺された日から変わることは無し。

この日から、凛人と義勇の鬼殺隊としての一日が始まった。
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