□残酷
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その日はしんしんと雪が降り続いていた。
辺り一面真っ白になる程に降り積もった。
雪が降りしきる森の中、ざっざっと踏みしめ歩く者が二人。

「愈史郎、家まで運びましょう。」
「ですが、」
「この者は、私たちに希望の光を与えてくれるかもしれません。」

視線の先には、雪の上で横たわり眠る者がいた。
その体の上には、更に雪が降り積もり始めている。
一見死んでいるかのように見えるが、息をしている、生きている。
ただ、眠っているだけ。

「覚醒したら俺たちを攻撃するかもしれませんよ。」
「…。」

珠世は、自身の手が汚れるのも、雪で身が濡れるのも構わず、その場に膝をつけ、その者に積もる雪を落とし、体を支え始める。

「珠世様、危険です!俺にやらせてください!」

愈史郎はそんな珠世の行動にぎょっとしながら、今日も珠世様は美しい!としみじみ思いながら、寝そべる凛人の体を持ち上げ運び始めた。
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