★ 小説置き場 ☆

□★ 冷たい手 ☆
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       雨が降っていた。

 雨の音がうるさく響く。今日はシンジ湖に2人でピクニックに行こう!と約束していたのだが、

この天気じゃ無理だった。

「あ〜あ、残念、・・・今度にしようか」

「そうだな・・・」

私はジュンの部屋にいた。やることもないし、家がちかいため、さっき傘もささずに走ってきた。

そのせいで少し服がぬれていたが全然おかまいなしだった。

今日はジュンママが急用でヨスガシティにいってしまって、ここにいるのは私とジュンだけ。

私のママもジュンママと一緒にいってしまった。

「ひまだね・・・」

私はジュンのベッドに横たわる。

ジュンはピクリと反応したがあわてて

「そうだな・・」

とそっけない言葉を返す。

今日のジュンはすごく変だ。 そう思ったのはこれで3回目。

さっき家に来た時からだった。

妙に落ち着かないって言うか、そわそわしてるっていうか・・・・

全然目をあわせてくれないし・・・

「ジュン、突然来て迷惑だった・・?」

私は少し声のトーンを落とした。

迷惑だったのかも、私は少し悲しくなった。

「は?!別にめいわくじゃねえよ?」

「でも・・・なんか今日のジュン変」

ジュンはなにか悟られた、みたいな表情をしたが

「べ、べつに、いつもオレは完璧だし」

なるしすとー!

なんてのは口にはださず、私は枕を抱える。

「ねえ、・・・どうしたの?」

絶対なにかあるんだ、私はそれを聞きだそうとした。

「・・・・・・・」

ジュンは答えない。

「ねえ、」

「・・・・っ、・・・」

ジュンは急に私を引っ張った。

「きゃ、・・・・・」

 その反動で私は壁に体をぶつけてしまった。

「いたぁ、・・・なにすんのよっ・・・??」

ジュンは私を壁におっつけていた。

「ちょ・・・・」

振りほどこうとしてもびくともしなかった。

ジュンはいつもの暖かい、明るい目をしていなかった。

冷たくて、暗い・・・氷のように冷えた目。

私を押さえつけているジュンの手も氷のように冷えていた。

ジュンは私と鼻が触れ合うほどの距離まで近づく

ドキっ、 っと私の心臓が跳ね上がる。

ほのかにジュンの香りが鼻をかすめ、頭をくらくらさせた。

 ジュンは幼いころとくらべてずいぶん変わった

性格はそのままだが、少しは大人な表情をみせるようになったし、

昔は同じくらいだった背も今では頭1個分以上も違う。

手も大きくてごつごつしているし、顔も前よりおとなっぽくなってなんだかカッコイイ。
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