past claps

□ice ring(過去拍手/ギャグ甘)
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俺達が出会って5年

俺達が付き合いはじめて 3年



俺は今日、あいつにプロポーズをしようかと思う



しかし、いまいち言うタイミングがわかんねぇ


今の状況といえば、あいつはソファーで本を真剣に読んでいる


とても、プロポーズするようなシチュエーションじゃねぇよな…




「なぁ、ちょっと外でねぇか」

「やだ」




…うわ、即答かよ

しかも、全くこっちも見ずに言いやがった


とりあえず、本を奪わねぇことには話を聞いてくれそうにねぇな



俺は歩み寄り、本を奪う




「ちょっと、返して!てか、さっきから いったい何なの!?」

「いいから、黙って俺の話を聞いてほしい」




俺はじっと目を見つめ、両肩をつかむ




「これからは、俺のために毎朝具の違う味噌汁を作ってくれねぇか」

「…は?」




俺の言った言葉に対して、怪訝そうな顔をする




「なに?グレイの中で味噌汁ブームでも来たの?
毎朝とか無理だよ、めんどくさいよ」




露骨に嫌そうな顔をする彼女



一週間寝ずに考えた俺のプロポーズの言葉はバッサリと切り捨てられた



このプロポーズじゃだめだったのか?


むしろ、俺と結婚すること自体がダメなのか


しばらくの間、一人 放心状態で突っ立ていると『はぁー』とため息をつく声が聞こえた




「あのさ、私も前から言いたいことがあったから聞いてくれる?」



いつになく真剣な表情を見せる彼女に俺も少し背筋をピンと伸ばす


…まさか、別れようとかか?


さっきのこともあってか、嫌な考えばかりが俺の頭の中でぐるぐると巡る


すると、彼女は俺の手を両手でギュッと強く握りしめた




「私はグレイと一緒に嬉しい時には二倍笑って、悲しい時には半分ずつ泣きたい。そうやって、グレイの隣で年をとっていきたいから。だから、私と100年先まで恋人でいてくれないかな」




少し不安そうな表情をしながらも、しっかりと俺の目をみて彼女は言った



なんというか、俺の考えたプロポーズよりも良くないか?


数分前に自分が言ったプロポーズに恥ずかしさを覚えつつも、俺はすぐに返事をする




「言われなくても、ずっとお前の傍にいる」



ギュッと抱きしめ、そのまま指輪を彼女の指にはめた



「これって…」


「俺が魔法で作った氷の指輪。氷が溶けても、また作りなおせば、今日という日をまた思い出すだろ?




冗談まじりに言いながら、彼女に笑いかける



本当なら、もっと宝石がついた高い指輪のほうが女は喜ぶのかもしれねぇ


けど、俺にしかできないもの
俺が隣にいねぇとできないものをあげたかったんだ




「ありがと、グレイ」



彼女は泣きながら嬉しそうに笑った


俺もそんな彼女を見て笑う



プロポーズは上手くきまらなかったが、最後くらいはカッコつけられたよな








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