Criminal and real culprit

□episode,1
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大きな建物の取り囲む門の前に停まった、1台の車。
「面倒…」
助席の窓が開き、青掛かった黒色の髪の女がその建物を見て小さく呟く。

「まぁまぁ、たまには良いだろ?」
運転席に座る、癖のある茶色の髪をした男は、女を宥める様に言う。
「なんで、私が一般人と馴れ合わなくちゃいけないのよ…」
その言葉に耳を傾けず、また譫言の様に呟く女。




「態々お前が知られてない所まで来たんだ、我慢しろよ」
女の態度に少しも怒らず、呆れた様に続けると、女も諦めたのか「わかったわよ…」と言いながら窓を閉める。


「で、大丈夫なの?」
「当然。疑われることは一切ない、表向きはただ生活するだけで良い」
「ふーん…」
走る車の助席で沢山ある紙の束に目を通す女。



「…何、授業とかしなくちゃいけない訳?」
「当たり前だろ、教師として入るんだぜ?」
「…」
溜息を吐き、窓の外に目を移すと車が丁度信号で停まった。






「雅、俺達はアレを探す為に動いてるんだ」
「わかってるわよ」
「情報によると、あそこには有力な柱があるらしいぜ?」
女の名前は雅というらしい。
そして、彼等は何かを探している様子。

「柱…私肉体労働嫌いなんだけど」
「お前にやらせるつもりはねぇよ、俺が行「青よ、帝」…」
帝と呼ばれる男の言葉を遮り、話す雅。


「兎に角、お前は汚れる必要はない」
「…出来る事はやってあげるわ」
「さんきゅ」



車を進めてから、かなりの時間が過ぎただろう…
先程の建物とは対象的に、小さい小屋の様な家らしい建物が前方に見えてきた。

「ふぁ…」
雅が欠伸を溢しながら、家の横に停まった車から降りて来る。
「おつかれさん」
「帝も、おつかれ様」
互いに声を掛けながら鍵を開け家に入る。





室内は殺風景である。必要最低限の物しか置いてない。
雅も帝も、長時間車に乗っていて疲れたのか、ソファーに腰掛け疲れを取っていると

ピピ ピピ ピピピ…
この部屋には似合わない、機会的な音が室内に響き渡った…
「「!」」
その音が聞えた途端、疲れを休めて居た2人は立ち上がり、胸の前に横向きで腕を翳す体制を取った。

静寂を切り裂き聞えてきたのは、雅でも帝の声でもない男の声。
『雅、帝、御疲れ様だ…』
「「…」」
先程取った体制のまま、軽く頭を下げる。
『今回下した命も、よろしく頼むぞ…』
「「Yes I follow people」」






2人が小さく呟いた、その言葉を合図に男の気配が消えた…







10/4/10


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