読み切り

□ときめきと方言
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その日、私は朝起きると無償に目が痒かった。
鏡を見て良く見て見ると、ものもらいが出来ていた。


最悪…


「これ嫌いなんだよなあ…」
どうしても眼帯とゆうものが好きになれない。
折角両目がしっかりと見えるのに片目を隠してしまうってなんか嫌な気持ちになるし…
「でも、しかたがなよね、うつっちゃ迷惑になるし」

「あら、雅ちゃんおはよって、どうしたの、眼帯なんてして…」
「おはよ、アテーレ。実はものもらいになっちゃったみたいでさ」
苦笑いを浮かべる私にアテーレは困った様に笑いながら、大丈夫?なんて聞いてくる。
本当お母さんみたいな人だよね、アテーレって。


「うっわ、どした雅、ものもらい?」
「はよ、帝。そうなんだよね、最悪」
「眼帯とか…お前その手の病気にあんま掛からないから辛いだろ」
「ん…」
こいつはこいつで、昔から知ってることもあるのかわかった様に心配してくれる。
確かに私は小さい頃から感染症等のものには余り掛からなかった。
帝はいっぱい掛かってたけどね。

「アテーレ、はよ。手伝うよ?」
「あら、ありがとう帝さん、じゃあ…これ運んでくれる?」
「りょーかい、ほら、雅も手伝いなさいっ」
「煩いわよ、あんたに言われなくてもいまや「なんや、朝っぱらから元気やねぇ、うちの猫さんは」
「はは、きっとお腹空いてるから気ぃ立ってるんだよ」


…朝っぱらから人をからかうか、普通。
第一に、「私は猫じゃないんですけ「んなもん知っとるで、なあ」「知ってるよー?」 ムカつく。
さっきから人の言葉を遮って喋るな、狐目のくせに!

「雅、おはよ」
「…はよ」
「おはようさん、雅って…なんやどないしたん?めばちこかいな」
「…は?」
「ありゃ、本当…雅、めばちこなんて可哀想に」
「大変やねぇ、眼帯…でもめばちこならしゃーないわな」

ぇ、なに?ん?は?What?
めぱ、いやいや違うよね、…め…めばちこ?、ってなに?



呆然と立ち竦む私に変わって同じ様に不思議がっていた帝が首を傾げる。
「な、めー…めぱ?いや、めば?ちん?ってなに?」
ぁ、いや、色々と間違ってるよ、帝。

「なに言うてんの、めばちこやめーばーちーこ!」
「めばちんって、なんだよ、おい」
呆れた様に溜息を吐きながらもしっかりと正解を教える纏と帝の言葉に爆笑する柊。
「…// だ、だから、そ、その、めばちこってなにって聞いてんだよ!!///」
「私も知りたいわ、めばちこってなーに?」
間違えたことが恥ずかしかったのか僅かに頬を染めながら声を上げる帝の後ろからひょこっとアテーレも顔を出し、微笑みながら問う。

「アテーレも知らないの?…抜けてる帝だけだと思った」
「おい柊、俺は抜けてるだと!」
「抜けてるやろっとー…めばちこゆーんは、雅がなってるやつやで?」
「…あれって、ものもらいって言うんじゃないの?」
「めばちこやろ?」
「ぇ、ものも「いやいや、めばちこや」…」

すっごい微妙な雰囲気が私達5人の中に流れる。
誰も一言も発しないし、目も合わせない…気まずい。
その気まずさを破って入って来たのはなにを隠そう、今日始めて見るカイキアスだった。


「はよー…」
「ぁ、か、カイ、おはよ」
「おう、アテーレはよ。纏も柊も帝もおはよ」
「おはようさん」
「おはよ、カイ」
「は、よ…」
呑気とゆうか、なんというか…
普通にいつもどーりに、ぁ、カイのいつも通りの挨拶っていうのは、アテーレにはぽっぺにちゅー、纏と柊と帝には肩タッチで、私には頭を撫でてくれる。
これがこの人の挨拶の仕方らしい。
って、そんなこと説明してる場合じゃなー…「ありゃ、雅、おひめさまじゃん」






え…





「ぉ、ひめ、さ…ま?」
「おう、可哀想に…どうしたんだよ」
訳がわからずキョトンとしている私を見るなり、いつもより優しく撫でてくれるカイキアス。
…やっぱりこの人は優しい。

「おひめさまってなん?」
「は?」
「雅がおひめさまってことー?」
「…なに言ってんだ?」
「だっていま、おひめさまって…」
「ぇ、纏も柊も帝も知らないのか?」
心底不思議そうな3人の顔を見れば心底驚いた様に目を丸くする彼。
その彼を見つめながら首を傾げるアテーレに、彼はじぃって見つめ返し。
「お前は、知ってるよな…?」
「…?」
どうやらアテーレも知らないようだ。
それを見たカイキアスは苦笑いを浮かべながら自分以外の全員を見渡しながらこお言った。



「あーっと…標準語でものもらい、関西弁で、め、ばちこだっけ?」



「もの、もらい…」
「めばちこ…」
思わず、標準語組と関西弁組が同時に声を揃えて繰り返してしまった。
…そうか、そーゆー意味だった、んだ。

と、ゆー訳で微妙な空気も過ぎ去り、私達6人は仲良く朝食を食べました。
めでたしめでたし。










カイにおひめさま≠チて言われて

ちょっと嬉しくてときめいちゃったことは

絶対内緒だからね。







(に、しても方言って色々あるんやねぇ…)(ものもらいとめばちことおひめさま…)(雅、早くおひめさま治せよ?)(ぁ、うん…)(せやせや、めばちこは早う治さなあか(うん、ちょっと黙ってて)


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