読み切り

□喧嘩の原因
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「俺はお前の為を思って言ってんだぞ!」
「それがお節介だ、って言ってるの!」
「その体で、どーやって任務やんだよ、え?今回は結構体はるって言ってたろ!」
「そ、れは…で、出来ないことはないわよ!」
「あーあ、そーですかい、じゃあ勝手にしろ!今回ばっかりは、俺はお前とは行かないからな、柊でも纏でも誘ってやってこい!」
「っ、わ、からってるわよ!あんたになんか…もお!帝の分からず屋!!」


バタンっと最後に大きな音を立てて、口論が終わった。
どうやら声を張り上げていたのは、雅と、珍しく帝の様子。
その2人に、同居人達も驚いて、近くにいる人と顔を合わせれば、首を傾げている。




「で、どしたんだ?」
「…雅に聞けば良いだろ」
「その雅が引き篭もっちまったから、お前に聞いてんだよ」
「…」
この中で1番お父さん役が似合っている彼、カイキアスは早速帝に喧嘩の原因を聞きだしている。
しかもちゃんとダイニングテーブルを挟み、椅子の真向かい…2人の真ん中に帝、向かいにはカイキアスの隣にはアテーレまで座っている、その光景はまさに家族会議。

「雅ちゃんは兎も角、帝君があんなに大きな声を上げるなんて珍しいわよね…どうしたっていうの?」
「…あいつが悪いんだよ」
「喧嘩した同士のその台詞は100%意味のない台詞になるんだよ」
「ぁ、言えてるー」
帝の言葉になんか無駄に名言の様な台詞を返すカイキアスに、アテーレはけらけらと笑いながら紅茶を飲む。
その姿に、遠くのソファーから見ていた、柊と纏が苦笑いを浮かべていたのは誰も知らない。


「雅が悪いって、どーゆー意味なんだ、取り敢えず」
「…あいつ、いまこの前の任務でちょっと体の体調良くないんだよ」
「戻って来た時、結構怪我してたものね」
「…まあ、だから、怪我も心配だし、今回の任務は俺1人でやるから、雅は休んでろって俺が言ったら、あいつ…」






『はあ?なに寝惚けたこと言ってんのよ、任務はやるわ、平気に決まってるじゃない、第一に、私がやんなくてどーするのよ』







「って言葉を切欠に、お前と雅の口論が始まった、と…?」
「…そ」
「雅ちゃんも素直じゃないから、もお、どーしてそんなこと言っちゃったのかしら」

帝はただ雅のことを心配して言ったのにも関わらず、雅の性格上素直になれなかったのである。
それを、雅の性格を帝は、此処に居る4人以上にわかっているいるからこそ、彼女の態度が気に入らなかった。
素直になれず、いつも思っていることが言えない彼女、そして辛い想いをする姿を、何度も見ていたから…


「なんや、雅が素直にならんせいでこおなってしもうたんやろ?」
「それじゃあ、普通に雅に言えば良いじゃん、みんなで、さ」
いままで遠くで聞いて居た柊と纏も、いまの雅の言葉を聞けば、3人が居たテーブルの方で歩みながら提案をする。
「みんなで?」
「せや」


「んなもん、帝で意味なかったんだぜ?全員で言った所で効果があるとは思えないけどねぇ…」
「あると思うよ?ほら、小さい子供ってさ、お母さんとかだけに言われれば反発するけど、お父さんとお母さんの2人から言われれば、素直に聞くじゃない?」
「…正直理論がちょっとおかしい気もしらなくないんだけど、やってみる価値はちょっとはあるからね」
「うし、やってみっか」
良くわからないことを、悪戯っぽい笑みを浮かべながら語る柊に対しアテーレが苦笑いを浮かべるも、柊と纏の案は決定された。




「まずは、あれや」
「あ?」
ダイニングテーブルを此処にいる5人、全員で囲み作戦会議を始める。
「カイはお父さん、アテーレはお母さんだから、最初は俺と纏君で雅に声掛けてみるよ」

「…俺が父さんいうのが、ちょっと気に入らねぇんだけど、まずは作戦が最優先事項だな」
「私がお母さーん」







『簡単や、まずな、俺と柊君が雅に声ん掛ける。そんで、反応が返ってきたらそれらしいことを言って、ちょっとええ感じにさせる…』
『そこでカイとアテーレが登場して、もっともっと良い感じにさせて』
『最後は帝がもう1ぺん、さっきと同じこと言うて解決や』





「雅ー?」
簡単というかシンプル過ぎる気もする作戦が結構された。
柊が先陣を切って、雅が引き篭もっている部屋の扉をノックと同時に纏が心配そおな声で名前を呼ぶ。

"…なあに"
「雅、出てきぃや、みんな心配しとるで?」
「こんなところに閉じ篭ってないで、一緒にお茶しようぜ、な?」
"…いらない"

普段ならお茶という単語に子猫の様に反応する雅が、いらないと言った。
…ぶっちゃけ、柊と纏はこの雅の反応は予想外であった。
そこで賺さずカイキアスとアテーレを呼び、同じく心配そおに声を掛けさせる。


「雅、出て来い」
「雅ちゃんー?早く出て来て、一緒にお茶しましょーよ」
"…でも"

おお、流石はお父さんとお母さんの言葉。
さっきの2人が駄目人間に見えてしまう程じゃないか。








「どうして閉じ篭っちゃったの?」
「訳言ってみ、それによっては対応を変えてやるからさ」
"…みかどがあんなこというから"
どうやら、こっちもこっちで相手に不満を持ち、最悪の閉じ篭ってしまうパティーンになってしまったらしい。

「帝がどしたって?」
"だめっていうから…"
「…なにを?」
"うぅ…"
カイキアスとアテーレが扉越しに会話する中、先程雅との会話で撃沈した、柊と纏は帝のケアに回っていた。
「帝、まあまあんな怒るなって」
「せやで、女の子の我侭なんて可愛らしいもんやないの」
「女の子ねぇ…」
「「…」」
帝が言った台詞に敢てツッこまない柊と纏であった。



「取り敢えず、話し合わないと訳わかんねぇ、出て来い」
"やあ…"
「いつまでも喧嘩してたら、任務だって出来なくなるわよ?」
"…みい"
「喧嘩っーのは、早く仲直りすれば簡単だけど、長引けば面倒になるぞ」
"…わかった"
扉を少し開け渋々出てきた雅を見れば、優しく微笑えむ2人。
やっぱりお父さんとお母さんみたんな2人だ。
















「はい、2人共言うことあるだろ?」
「…」
「…」
「早よ言いや、面倒になるで?」
「…」
「仲良くしようぜ、折角一緒に住んでんだからよ」
「そおよ?みんな仲良くしてないと、つまんないじゃないの、ね?」
テーブルを全員で囲む。因みに雅と帝はお向かいさん同士で座らされている。
みんなの言葉を聞けば暫く巡らせていた視線をちらちらと合わせ始める雅と帝。



「…みやび」
「…みかど」
重い口を開き、お互いを暫く見つめると小さく呟く様に言う…

















「「………ご、めん」」




















「で、任務の内容ってなんなんだ?」
「普通駄目やないの」
「ほら、でも教えても大丈夫な内容のもあるじゃん?」
「教えれるぞ?」
「ぇ、本当?じゃあ教えて、知りたいー」
「…」
なんとか仲直りして、みんなで仲良くお茶を飲み始めた頃、思い出したかの様にカイキアスが問い掛ける。
任務内容は普通は教えてはいけない、それが決まりなのだが、例外として教えても良いのもある。どうやら今回の内容は教えて良い方らしい。

「実は、今回の任務…」

「「ケーキパラダイス(なんだよ)(なの)…」」













「「「「はぁぁぁぁぁぁぁッ!?」」」」





















「でも、なんでケーキバイキングでそんなになるんだよ」
「雅の奴、虫歯があるんだよ」
「みい…」
「それで喧嘩に…」
「まあ、虫歯でケーキバイキングなんかに行ったら、雅境目なくなるからなあ…」
「間違ぅてはないんやろうけどなあ…」











ケーキバイキングが原因で喧嘩。
この2人らしいとゆうか、なんというか…

嗚呼、今日もこの家は平和です。









(今回は諦めてさ、今度みんなで行こ?)(うん…)(…俺、チョコレートケーキ食いたい)(私チーズケーキ)(甘くないのがええ…)(んなもんないだろ…)


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