烏森学園B
□助けを求めて
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烏森学園―――…
黒須先生の話を良守はぼんやりと聞いていた。
(‥‥眠い)
昨夜も遅かったのでHRの話もあまり聞こえていない。
「墨村、終わったぞ?」
『へっ?』
「まったく、おまえは…ι」
どうやらHRが終わってもぼんやりしていたらしい。
その時、教室の戸が開いて瞳に涙を溜めているランドセルを背負った1人の男の子が入って来た。
黒須先生が声をかけるよりも先に動く。
「良兄…ッ」
『利守!!?
どうしたんだ?』
ガタンッと音を立てて良守が立ち上がり、利守の元に駆け寄る。
「うわ〜んっ!!」
『おわ…ッ
ちょっ、利守…』
滅多に泣かない利守なので良守は戸惑う。
泣くのを我慢していたのだろう、兄の姿を見て安心したのか、泣きついて来た。