烏森学園B
□繋がる心
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良守は家に入ると違和感を感じた。
(‥‥この感じ。
でも、いつもと何かが違うような…)
それは居間に入ってすぐに気づいた。
「あぁ、おかえり」
『…ただいま』
「座れば?」
『‥‥みんなは?』
「父さんは買い物。
利守はまだ帰って来てないよ。おじいさんは出掛けてる」
(――そういうことか…)
小さなため息をつき、良守は鞄を置くと黙って正守の横を通り過ぎてゆく。
『脱げよ、怪我してんだろ?』
「‥‥バレたか」
『バレバレだ、馬鹿。父さんは騙せても俺は騙せねぇよ。
ジジィがいればすぐに気づいただろうな。
多分、利守も気づいた。あいつ…結構ああ見えて鋭いんだぜ?』
ニッと笑い、良守は意外と利守のことを見ていた。
『何があったかなんて聞かねぇけど‥‥』
「大丈夫だよ」
『命を無駄にだけはするな、馬鹿兄貴。
夜行のみんなだって心配するだろ』
「…そうだな。
おまえは優しいな」
珍しく穏やかな表情で正守はポンポンと良守の頭をなでた。