烏森学園B
□大切な弟
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放課後―――。
いつものように良守は鞄を手にして帰る。
何やらザワついてる様子。
「何だろうな。
行ってみようぜ」
『あっ、おい…!』
「仕方ないな」
田端に呆れつつも良守と市ヶ谷は追う。
「可愛いよね〜」
「誰かの弟?」
「いやいや、先生の子供って可能性もあるよね」
ランドセルを背負った男の子が校門前にいるのだ。
『あ゛』
「なに?
おまえ、あの子を知ってんの?」
『知ってるも何もあいつは―――』
説明が終わる前に気づいたようだ。
「良兄っ!」
『…っと。利守、どうしたんだよ?』
抱きつかれ、それを受け止めると良守は優しく微笑んで利守の頭をなでた。
嬉しそうに利守が笑う。
とても優しい表情をしており、それは皆が見たことのない兄としての良守だった。
「‥‥変な人がいたから」
『変な奴…?』
良守の顔が険しくなる。