烏森学園B
□想いの強さ
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去年の今頃は何をしていたかと良守は考えていた。
烏森を封印して割りと落ち着いていた。
「良守、悪い。
待たせたな」
『呼び出しといて遅刻かよ‥‥』
「悪い悪い。
好きなだけケーキ奢るからさ」
『…ん』
頷いて文句を言わなくなる。
「これが今回の依頼。深い森だから迷わないようにな」
『大丈夫だ』
「報酬はこの金額が妥当だろ?」
『…こんなにいいのかよ』
「それくらいレベルが高い妖なんだ。
誰か夜行から派遣するか?」
『一人で十分だ』
「そうか。
必要になったら言ってくれ」
『あぁ、分かった』
正守から手渡された正式な書状を鞄に入れた。
「‥‥時音ちゃんは元気か?」
『…さぁな。
烏森を封印してから会わなくなったし』
「そうか。
今でも時音ちゃんが好きなのか?」
『‥‥どうなんだろうな』
窓の外を眺め、小さなため息をついた。