烏森学園B
□秋風と共に
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秋風が吹き、落ち葉が落ちて来る。
『あんた、何やってんの?
焚き火…?』
『焼き芋。
時音も食べる?
うまいよっ!』
『…ありがとう』
縁側で2人肩を並べて座り、火を見つめながら焼き芋を食べる。
今日は繁守と時子もいないので、静かでこうしてゆっくりとした時間が過ごせる。
『最近寒くなって来たな。風邪ひいたりするなよ?』
『…そうね。
良守こそ、気をつけなさいよ?
前に風邪ひいたんだから…』
『分かってるよ!』
会話が続かず、黙ってまた食べる。
『寒くない?』
『…まだ大丈夫』
きゅっと良守は時音の手を握る。
それを払い退けることもせず、時音はそのまま良守の肩に寄りかかる。
『…春になったらどこか行くか』
『‥‥ぅん』
『仕事あっから遠出は無理だけどさ』
『桜見たいな』
『じゃあ、桜が満開になった頃に綺麗な桜の木がある公園に連れて行ってやるよ』
『楽しみにしてる』
そのまま口づけを交わした。
冷たい秋風が吹き、2人の髪を揺らす。
ゆっくりと唇を離し、名残惜しそうに離れた。