烏森学園B
□大切な父の存在
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学園の校門を出て通学路を歩いていると偶然会った。
『利守。珍しく遅いんだな』
「あっ、良兄。
先生に用事頼まれちゃったんだ」
『そっか』
家まで一緒に並んで帰る。
歩きながら話をしていた。
『「ただいま〜」』
いつもなら出迎えてくれる父が出て来ないので不思議に思う。
首を傾げながら家に入った。
『靴はあるから出掛けてはいないよな』
「うん。どうしたのかな」
手を洗い、とりあえず自室に戻って鞄を置いて制服から私服に着替えた。
良守と利守は父の部屋に2人で行く。
父が出迎えてくれないだけで何だか不思議と寂しくなる。
父は母代わりでもあった。
『父さん…?』
「あ、お帰り…」
自室で父は布団を敷いて寝ていて、その声は弱々しくて元気がなかった。
「大丈夫?」
『具合悪いの?』
「‥‥少し寝てればよくなるから。
夕食作らないと…」
「そ、そんなのいいよ。顔色悪いし…」
「大丈夫だよ。
寝たら少し楽になったから」
助けを求めるように困惑した様子で利守が良守を見る。