烏森学園B

□美人のママ
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余所見をしていたせいで時音は包丁で野菜ではなく、自分の指を切ってしまった。


『痛ッ…ι』
「ママ!!?」
『だ、大丈夫よ』


時音の指から血が出てるのが見えた。


「血が出てる‥‥」
『大丈夫よ。
たいしたことないから。ねっ?』


心配そうに見つめながら泣き出しそうな娘の頭を時音は心配させないように笑顔でなでた。


それを振り切り、時美は自分の部屋に行ってしまった。


(‥‥血を見て怖がらせちゃったかな)


自分の血と人の血は違って見えるもので、それが大切な大好きな人なら尚更だ。


「ママっ!」
『時美…?』
「痛いけど、我慢して指洗うんだよ。
おばあちゃまに前に教えてもらったの。
バイ菌入っちゃうから清潔にするんだよ」


台に乗りながら時美は時音の怪我した指を丁寧に痛くならないように洗う。
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