しょーと

□無愛想な彼氏
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それに、先輩も私みたいに同情なんかじゃなくて、本気でつき合いたいって思う人ができるかもしれない……よね。

その時私は邪魔でしょ?

先輩は優しくて、きっと私に別れを切り出せないから。だから、私は、先輩とさよならするって決めた。


いつものように、先輩を迎えに行った。
帰り道、いつもならうるさい位に話している私が黙っているのがおかしいのか、先輩は不思議そうな顔をしている。

顔をのぞき込まれて、目があって、なんだか泣いてしまいそうになったけど、手をぎゅっと握ってこらえた。

「先輩あのね、話があるからよってもいい?」
「……いいけど」

近くの公園を指さして言うと、先輩は不思議そうな顔をして、その後で頷いた。

近所の子供たちはもう帰ってしまったのか、人はまばらで。公園の遊具が少し寂しそうに影をまとっていた。
すぺり台の近くのベンチに腰掛けて、深呼吸。

「話ってなに」

どうやって切り出そうか。
そう考えていたときに聞こえた先輩の声。

……言わなきゃいけない。別れるって。
覚悟を決めていたはずなのに、いざとなったら怖くなって。
このままでもいいんじゃないかって。そう思ってしまって。

だけど、先輩の声を聞いて覚悟を決めた。
先輩のためだもん……ね。


「……別れましょう」

あぁ、言っちゃった……。
言葉にしたらあまりにあっけない。
先輩の顔なんて見れなくて、泣き出しそうな顔を見せたくなくて、うつむいた。

「は?」

言葉とともにぐっと肩をつかまれて、思わず顔をあげる。

「もう無理してつき合ってくれなくていいですよ……」

見つめた先輩は、顔を歪めていて。

「好きな奴でもできた……?」
「違いますよっ」
「じゃあ、なんで」

苦しそうに呟くから、思わず勘違いしそうになって。

「……私のこと好きじゃないでしょ?同情してくれたんですよね」

それを振り払うように、呟く。

「もうつき合ってなんて言いませんから、だから……忘れてください」
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