しょーと
□無愛想な彼氏
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先輩はもてる。
頭いいしスポーツだってできるしね。
それに、なんて言ったってかっこいい。
一度も染めたことの無さそうな黒髪に、ちょっとつり目がちの目は、睫毛ばしばしに長いし。
すっと通った鼻。薄い唇。どこをとったってそこらのモデル並には整ってると思う。
でも、アイドルみたいに騒がれることはない。
それは、先輩が無口だからだと私は思う。
だから、先輩のファンは影でたくさんいる。絶対いる。
ファンの人たちには、そこがクールでいいとか言われてるけど、でも、彼女にくらいもう少し優しくもいいんじゃないかな。
なんて、思ってしまうけど、それは当然かな。
だって先輩は私のこと大して好きじゃないもんね。
つきあい始めたのだって、私がむりやり「うん」って言わせたようなもんだし……。
先輩にひとめぼれしてから、毎日のように告って、告って。
その内に、先輩の隠れた優しさを知って、もっと好きになって。
何十回目かのときに、お前の根性に負けたって言って、先輩は告白を受け入れてくれて、つき合うようになった。
先輩は優しいから、同情してつき合ってくれたんだと思う。それはわかってるんだけど。
だけど、やっぱりつき合ってると、どんどんワガママになっちゃう。
だって、今の関係ってつき合ってるって言えないよ。
一緒に帰るのだって、私が先輩の教室まで迎えに行かなきゃ帰れないし。
もちろん手なんて先輩から繋いでくれたことはない。
……私から繋いだ手を話すことはしないけど。
デートだって。
いつも私から誘うし……。
いつも、私ばっかり先輩を求めてて。
先輩にも私を求めてほしい。
先輩からも話しかけてほしい。
私に笑いかけてほしい。
私だけ見てほしい。
……私が好きだって言ってほしい。
片思いの頃は、すれ違ったり話が出来るだけでも嬉しかったのにな。
先輩が私のこと好きじゃなくても、それでも、いいって思ったけど。
でも……。
やっぱり、この関係は辛いよ。
だから、私は決めた。
先輩と別れるって、そう決めたんだ。