俺と君と私と

□01.転入
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「ちゃんと…出来てるかな?」

私は鏡に映る自分の姿を見て呟いた。
鏡に映るのは中性的な私で、これから通う立海大学付属高校の男子の制服に身をとおしている。

やや男子としては長めのブラウンの髪は、適当に後ろに流した。

「男装…。こんな感じでいいよね…。うん、頑張ろう!」

ここで…、男子として生活をやり直す。それで思い出だけの…、思い出だけの生活に、今
を取り戻そう。

私は例の薬がたくさん入った封筒をもう使わなくていいように、ひきだしに入れ鍵をかけ学校に向かった。


「転校生の苗字名前です。これからよろしくお願いします」

「「「「「かっこい〜!!!!!!!!!!」」」」」

なんか自己紹介したら、黄色い歓声が…。

「おまえは幸村の席の前……
あー、一番左の後ろからに2番目に行け」

先生がその歓声を静めながら、私に席を告げる。

あー、ほら。そのユキムラ君のほうが数千倍、いや比べたら失礼なほどかっこいいと思う。

男には興味はない。

けれどやっぱり美形なんだな、とは思った。

「えっと、苗字さんだね?
俺は幸村精市。
近くの席の者としてよろしく」

席につくと、後ろから幸村君が身をのりだして、私に笑顔で自己紹介をした。

さっき美形だと思ったけど、相当モテるんだと思う。

私に向けられた笑顔を、幸村君の隣の席の女の子が見て顔を赤らめているのだから。

「ああ、ヨロシク。
適当に話しかけてくれな」

男装では初めて男の子と話すから、ドキドキしながら言った。

でも、「うん」と頷いた幸村君は気付いていないようで安心した。

「あ、苗字。渡し忘れたものがある。ん、部活一覧表だ」

規則で絶対部活には入らなければいけないからな、と先生はつけたす。

私はそれを受け取り、席で眺めた。

目を通していると、ある部活が目にとまった。

「テニス部……」




「苗字君はどこの部活入るの?」

「私サッカー部絶対いいと思う!」

「でもチェスやっててもかっこいいと思う!」

はい。

何故か私の周りに女の子が集まってます。

かっこいいかっこいいと聞こえるけど、幻聴でしょうか?

「で、どこに入るの?」

すっごく可愛い子が、上目遣いで聞いてきた。

「んー、まだ決まってないかな?
いろんな部見て決めるつもりだよ」

そう言って笑ったら、その女の子は顔を真っ赤にさせた。

か、可愛い…。私には到底できない表情だ。

それから私はテニス部の文字にまた視線をお
とした。

「テニスかぁ…。懐かしいな…」

私は空を見上げ、小さく呟いた。

「おーい、転入生。ガムくれ」

放課後いきなり赤い子に話しかけられた。

「ん、これでいいかな?」

「おぉお!
これは俺愛用のガム!
マジThank You!!」

赤い子は、たまたま持ってたガムを渡したら、すごく喜んだ。

「俺の名前は丸井ブン太。
お前とちゃんと同じクラス。
シクヨロ☆」

「あ、同じクラスなんだ。
よろしく。」

同じクラスだなんて気が付かなかった。

あ、でも…さっき先生にHR中にガムを噛むなって注意されてたっけ。

「あ、部活は全国NO.1の立海大附属高等部テニス部おすすめ!
でも天才的な俺を含め皆強いから、多分レギュラーなれないな。
ごめん、やっぱ可哀想だから来ないほうがいい」

そう言って彼は、部活があるから、と走って行ってしまった。

自分でテニス部薦めておいて、やっぱって…。

「クス」

小さく笑った。

テニス部入るかは分からないけどすごく楽しくなりそうだった





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テニプリ今めっちゃはまってるんです。
なんで、あんなにイケメンが多いんでしょうか??



少女はテニスコートへ走った

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