俺と君と私と

□04.遠慮などはたるんどるっ!
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私はテニスをやることをメモリーから今にしました。

新しいこともメモリーから今にしようとしています。

…涼。あなたは怒っていませんか?














「こぉおら!苗字!寝るな!」

そう言って先生に頭をどつかれた。

「痛いです…。先生」

まだ眠りの世界に頭がいるが、頑張って先生に文句を言う。

「いくら起こしても起きんから、英語の辞書の角で叩いたんだ!
黒板の問題を解いてみろ!」

あ、英語の時間だった。

だから先生はあんなに腹をたてているのか。

半開きの目で黒板を見て…笑ってしまった。

「わかりました。先生?」

自分でも意地悪く笑ったのが分かった。

もう目も覚めてしまった。

先生が私に恥をかかせようと難しい問題にしたんだろうけど…

簡単。

踊るように軽い足取りで黒板に行き、筆記体で書いていく。

わざと難しい文法と単語を使って。

そして、クルリと先生のほうを向いて言った。

「Est-ce que vous êtes bon dans ceci?
Un professeur stupide.」
(これでいいんですか?馬鹿な先生)


「すすす座ってよし!」

なにを言われたのか分からないのか、解せない顔で言った。

「「「「「かっけー!」」」」」
男子から、女子から歓声があがった。

そうして私はまた眠りの世界に入るのだった。



昼休み。

私はテニス部に入部してからというものの、なぜかレギュラーと昼食を食べている。

「そういえばさっきの名前のあれ、すごかったな、幸村君。
なぁ、名前。あれ、何語なんだ?」

学校に慣れてから、私はブン太に何故か名前呼びされてます。

まぁ、私もブン太を名前呼びしてるけど。

「あぁ、あれはすごかった。先生はちょっと可哀想だったけどね。
俺も気になるな、何語?」

私は今幸村君とブン太に挟まれ座っているわけで、両方から詰め寄られた。

「え、えっと。フランス語…か?」

そう言って笑って首を傾げる。

先程、情報の早い柳はこの出来事を、他クラスで知らないみんなに説明したのだろう。

みんなが…驚いた。

「ええー!?」

私はみんなの驚いた顔が面白くて小さく笑った。

「なんでフランス語喋れるんだい?」

幸村がかなり不思議そうにして聞いてきた。

「あぁ、それはね――」

ズキリ。

不意にくる痛み。









「こ…は、駄目…すね」
「この…を使いま……う。副……は……ですが、…者は……きに楽……りま…」










「あっ…、ク…」

「大丈夫!?」

痛みで揺らぐ私を幸村君がそっと支えてくれた。

「ありがと…。痛くて……」

すぐに寝転がされる。

痛みであかない瞳を頑張って開けると、心配そうにのぞきこんでくるみんなが見えた。

うわべだけじゃなく、本気で心配してくれる顔。

「ありがと…」

痛みが…。

痛みは痛みでも…、心の痛みがすぐにひいていくのがわかる。

「ん、もう大丈夫」

そう言って起き上がった。

「ごめん。俺がみんなの楽しい時間に蔭さして…」







「大丈夫。困ったときはお互い様だろぃ?」

「うん、俺だって痛みはよく分かるから。辛いよね」

「そうだ!仲間なのだから…」

「遠慮しなさんな」

「遠慮などはたるんどるっ!」

そう言って口々に言ってくれた。

ほんとに嬉しかった。

「フフ、ありがと。で、さっきの話の続きなんだけど、俺、フランスに住んでたんだ。1年強ぐらい」

「じゃあ、苗字は帰国子女だな」

「すごいな!」

そう言って笑った。

横にいる幸村とも目があって、意味なく笑う。

本当に楽しかった。




でも、まだ言えない。『あのこと』は。

ごめんね。

でも怖いから…。

せめて私の決心がつくまで…もう少しだけ…まって。





少女はテニスコートへ走った




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