mind

□第三章
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神無森山(シンムシンザン)と呼ばれる山を登り、俺は神無月(カンナヅキ)学園に着いた。
ついて来た妹の七海(ナナミ)は嫌そうな顔で俺を見る。


「また来ちゃったよ……」


「俺は行くって言ったら行くんだよ。しかも、わざわざ許可証貰っているしな」


俺はそう言ってポケットの中に入れた許可証を取り出して首に下げる。


『鳴神 直喜(ナルカミ ナオキ)様。貴方を神無月学園に入場することを許可します』


「もう…だったらさっさと柔道場に行こうよ」


「おう!!」


七海の言葉に頷いて俺は柔道場へ向かう。


「たのもーう!!」


柔道場の扉を大きな音を立てて開け、大声で俺はそう言った。
柔道場に居たほとんどのものが驚く中、一人だけ笑顔で俺の方を向く。


「やぁ、直喜」


白に近い水色の髪。
瞳は青緑色の美少年、木之本 与未(キノモト ヨミ)は俺に手を振る。


「与未!!勝負だ!!」


俺は与未を指差してそう言うと


「うん、良いよ」


与未は頷いた。
勝負とは、もちろん柔道でだ。
俺は幼い頃から柔道を習っている。
県内で一番強いと言われている俺が通う中学校で敵なしの俺の夢は世界大会優勝。
学校での練習がない日も練習している。

しかし……


「一本!!試合終了!!」


与未には一度も勝っていない……


「あ"ー!!また負けた!!」


畳の上を転がりながら俺は悔しがる。


「かっこわる…」


七海が冷たい目線で俺を見つめる。


「今日も楽しかったよ」


与未が笑顔でそう言うが、ものすごく複雑だ。


「直喜、うざい」


頭の後ろを思い切り蹴られて俺は立ち上がる。


「いってぇなぁ!!バカになったらどうしてくれる!初咲!!」


 
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