mind

□第三章
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「大丈夫!!直喜って元から馬鹿だから」


黄緑眼に緑色の髪を赤いリボンでツインテールした少女、初咲 夢歌(ウイザキ ユメカ)は親指を立ててそう言う。


「んだど!!この性悪女!!」


「なっ、誰が性悪ですて!?私のどこが性悪なのよ!?」


「全部」


初咲の言葉に俺は即答した。
すると初咲は俺のわき腹を蹴る。
だが、全然、痛くない。
当たり前だろう。
初咲はこんな奴だが、重い持病があり、幼い頃から病院に通っているらしい。
まぁ、頭はかなりいいけど。


「まったく痛くねぇよ」


余裕の笑みでそう言うと初咲は悔しそうにする。


「くぅ〜!!この脳筋馬鹿!!」


「な、な、なんだとこのヤロー!!」


俺は初咲の両頬をつまんで引っ張った。


「いい加減にしなさい!馬鹿兄貴!!」


七海が後ろから俺の頭を殴る。


「いっ…」


さ、さすが俺の妹。
いい拳だ……


「夢歌ももう止(ヤ)めようね」


いつの間にか制服に着替えた与未が初咲を後ろから抱き締める。
初咲は顔を真っ赤にして頷く。


「う、うん……」


与未と初咲は幼い頃から付き合っている。
初咲のどこがいいのか俺には全くわからないが、結婚する約束もしているらしい。


「僕達はもう帰るよ。直喜達は?」


与未にそう聞かれて、俺は七海を見た。
七海はもう帰りたそうな顔をしている。


「俺らも帰る。七海、ちょっと待ってろ」


「はいよ」


俺の言葉に七海は少し嬉しそうに返事した。


「なら、一緒に帰ろう。良いよね、夢歌」


 
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