短編
□本人の前だからこそ
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「ソーマっ!!俺と決闘しろ!!」
「……あぁ?」
何言ってんだこいつ
俺は自分の部屋で飯食ってるときにノックもせずに入って来た馬鹿を睨めつける
せめてノックをしてから入ってほしい
まぁしてもいれてやらねぇが
「何で俺がてめぇと決闘しなきゃなんねぇんだ」
「するのは当たり前だろ!どっちがいかにリンドウさんを愛してるのか決めるためだ!!」
「………はぁ」
思わず溜息が出る
またそれか
この前も同じこと言われた
その時はこいつをフルボッコにして泣きながら逃げてったのにまたやるのか
「この前やっただろ。お前が負けて勝負はついたんだ。だからさっさと帰れ」
「あ、あれは任務の後で疲れてただけだっ」
任務の後でって……
お前その日非番で休みだったろうが
「俺はお前に費やす時間はない。早く消えろ」
「……へぇー、なるほど」
「……なんだ」
「俺に負けるのが嫌だから嫌がってるのか。まぁ、俺は強いからしょうがないだけどな!」
……プッチーーーン
相手の挑発だと分かってたが我慢できなかった
目の前の男を戦闘不能にするまで殴らねぇとこの怒りは収まりそうになかった
「……やってやるよ。また泣いて帰ることになるがな…!!」
「はっ、それはこっちの台詞だ!俺の方がリンドウさんへの愛は大きいんだ、ソーマに負けるはずがない!!」
「何言ってんだ!俺の方がでけぇに決まってんだろ!!この糞餓鬼っ」
「俺の方がでかいもんね!!あと俺は餓鬼じゃねぇよ馬鹿がっ!」
「馬鹿はてめぇだ!!こっちは6年以上いっしょにいんだ!まだ会って2ヶ月しかたってないお前とは勝負になんねぇよ、変態野郎!!」
「馬鹿て言う方が馬鹿なんだよ馬鹿!!俺の方が絶対リンドウさんのこと愛してる!リンドウさんような華のように美しい方の隣りに立っていいのは強くて頼りになるイケメンの俺だけなんだよ!!」
「自分でイケメンて言うなんて痛い野郎だな、殺れば分かる話だ。早くかかってこいよっ」
「当たり前だ。そのためにお前を殺り来たんだ!死ねやゴラアァァァァァァア」
「てめぇが地獄に堕ちろぉ!!!」
「……あのさ、」
今にも殴りかかる二人に制止の声が響いた
「決闘すんのはいいけどよ、俺の前でやるのはやめてくれないか?」
「リンドウさんの前でやんなきゃ意味ないんです」
「あんたの前でやんねぇと意味ないだろ」
「……帰っていいかな」
「「ダメ」」