加藤元浩作品
□水溜り
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多分シリアス・・・です。燈馬くんがアメリカに帰ることになりましたとさ。
「・・・燈馬くん、アメリカに帰っちゃうんだって?」
休日の、燈馬くんの部屋の中。
不意に私の口から出た言葉に、燈馬くんはなぜ?という表情で私を見た。
「ロキから聞いた」
本当に、つい最近。ロキから電話がかかってきて、そのときに知った。
それを悟った燈馬くんは、あれだけ言わないでって言っといたのに、と少し笑みを浮かべた。
・・・少しの沈黙のあと、私は静かに泣きはじめた。
本当は、もっと文句を言ってやりたいのに、言葉が出ない。私らしくない。ただ、泣いてるだけなんて。
燈馬くんが、そっと私を抱きしめた。そして、耳元で何か言った。けど、私は自分の泣いている声がうるさくて、それがどんな言葉だったかなんて分からない。
けど、それが別れの言葉だということだけは、確か。
―――やがて、燈馬くんは私から体を離し、まだ当分泣き止みそうもない私を放って、出て行ってしまった。
ねぇ、何で私が泣いてるのか、分かってる?
あなたと離れるのが寂しくて泣いてるんじゃ、ない。
こんな風にしか分かれることができない。
そんなあなたが悲しいから、泣いてるんだよ?
下に涙が集まって、小さな水溜りができていることに気付いたのは、溢れ出てくる涙がようやく止まってからだった。
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