加藤元浩作品

□お嫁さんは七瀬さん。
1ページ/1ページ

初書き森立です。一応高3の夏で、立樹が18、森羅が16という設定です。お気に召すかどうか・・・。


お嫁さんは七瀬さん。


夏休みに入って一週間目の昼下がり。私は最近毎日のように森羅博物館にいた。

宿題をしたり、漫画を読んだりして、クーラーの効いた涼しい博物館でだらだら過ごす日々(受験勉強?何それ)。今日も、そんな変わりない日のひとつだと思っていた。

だが、今日は何だかいつもと雰囲気がちがった。それに気付き、何だ?何が違うんだ・・・?と周囲を見回した。そして、気付いた。

森羅がやけに静かだ。

というのも、いつもならこっちがどんなに無視してても
「七瀬さん、この化石、とっても珍しいんだよ!」
とか、
「この標本、すごくフォルムが綺麗!!」
なんかの独り言(本当は私に向けて喋っているはずだが)を絶えず言っていた。

ところが今日は、それが一切無い。見ると、こちらに背中を向けて、何かを黙々と作っているようだった。少しそれに興味を持って、森羅に聞いてみることにした。
「森羅、あんた何作ってんの?」
久しぶりに私から話題を振ってもらったのが嬉しかったのか、森羅はバッと振り向いて、元気よく答えた。

「婚約指輪!!」

・・・・。

一瞬、周りの空気が−50℃くらいに凍ったが、そんなことはちっとも気にせず森羅はにこにことしている。

えーっと、この場合はまず何を一番に言えばいいんだろう。
私は自分の持っている知識をフルに活用した結果、こう聞いた。

「・・・誰に?」
「・・・七瀬さんにだけど?」
森羅は、心底不思議そうな顔をして、答えた。まるで、それが当たり前だというように。

私は、大きく息を吸った。そして一度にこり♪と森羅に向かって笑いかけると、次の瞬間、
「いやいやいやいや!?意味分かんないし!?結婚は森羅が18歳にならないとできないし!?いやそれ以前にあたしは森羅と付き合ってもないっちゅーねん――――!!?」
「七瀬さん、言葉が変だよ?」
「あんたの所為でしょうが―――!?ああもう、まだツッこみたいこといっぱいありすぎ―――!!」

頭を抱えてぶんぶんと振る私に、森羅はにっこりと笑い、瞳をしっかりと合わせた。
「ごめんね、七瀬さん。うっかり僕たちもう付き合ってるのかと思ってたよ。失敗失敗」
その言葉にイラッときただが、森羅の清々しいほどまっすぐした瞳を見ていると、反論することもできなかった。

「だから、今ちゃんと言わせてね。
―――僕は、七瀬さんが大好きです。結婚してください」


森羅は。
いつの間にこんなに大人になっていたんだろう。いつまでたっても成長しない、ただのガキだと思ってたのに―――。
「・・・エイプリルフールじゃないよね?嘘じゃないよね?―――夢じゃないよね!?」
「わわ、七瀬さん何で泣くの!?悲しいの!?」
「悲しくなんかっ・・・ないわよ―――」
森羅と出会ってから数年。あたしたちの距離は、すごく変わった。言うならば、友達以上恋人未満というやつに。いつか、こんな風に言ってもらえることを期待していた気もするし、[仲の良い友人]の関係が壊れることを恐れて、否定していた気もする。

けど、今は―――

「ただ、嬉しい、だけ―――」
心配して寄ってきてくれた森羅の肩に腕を絡め、抱きしめる。いつのまにか、森羅は私よりも背が高くなっていた。
「ほんとこないだまで子供だったのに―――」
「でも今はもう違うもん!」
むーっと頬を膨らませて、怒ったような顔をした。こういうとこは全然変わってないのになあ―――。
「森羅、」
なあに?と返してきた森羅の耳元に、できるだけ大人っぽい声で囁く。

「あたしを、森羅の―――」


その言葉を聞いた森羅は顔をびっくりしながら赤くして、そしてその後私を強く抱きしめた。

(あたしを、森羅のお嫁さんにしてください)

18歳の夏、私には婚約者ができました。




終わった終わった☆いや疲れたー!初小説で結婚ネタってどうよってなりますね!!しかも何か意味わからんしテンポ悪いし!!文句はいつでも受け付けます^^
立樹ちゃんの語りのときの一人称が「私」でセリフのときが「あたし」なのはわざとなのであしからずー。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ