加藤元浩作品
□優しい目で、あなたを見つめて
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初書きなので、どヘタクソです。燈馬くん目線。
優しい目で、あなたを見つめて
「燈馬てさー、最初転校してきたときより、目が優しくなったよねー。」
それはいつもの昼休み、屋上に向かおうとしていた僕は、香坂さんたちに声をかけられた。
「いきなり何です?」
「いやー、最初に会ったときより感情的に人を見てるなァって思ってさ。
あんたのことをよく知らない私たちにでも分かったんだもん。間違いないよ。」
そう言われて、僕は少し考えてみた。そうかな?自分ではあまりよく分からないけれど。本当にそうなら、それは誰のおかげ―――?
「あー、燈馬くん!!まだ教室にいた!!」
急にドアの方から聞きなれた声が大きく響いた。
「み、みずはらさん・・・?」
「ひどいよー、トイレ行ってくるから先に屋上に行っててねって言ったのに―――!!」
「あ、そうでした・・・?」
水原さんは信じらんない、と呆れながら言うと、僕の手を引っ張った。
「ホラ、行くよ。」
「え、行くってどこに?」
僕が尋ねると、水原さんは「だァから屋上!!私まだお昼食べてないんだよ!?燈馬くんもでしょ!?」と怒った。
僕は、ああそうですね行きましょう、と素直に付いて行った。
後ろで男子たちがヒューヒューと騒いでいたけど、水原さんが例の『虎の目』で静かにさせていた。目を向けられてもいない僕も殺気で威圧されたくらいだから、その男子たちは5分は体がすくんで動けないと思う。
そうして、教室を出ようとしていたら、また香坂さんたちに首ねっこを掴まれた。
「また、何ですか?」
「燈馬、分かったのよ!!あんたが優しい目になったワケが!!」
「なぜなんです??」
「それはね・・・―――――からよ!」
「・・・!?」
「燈馬くん、早くー!」
水原さんの言葉で、放心状態に陥ろうとしていた僕の心は引き戻された。そして、ニヒヒ・・・と笑っている香坂さんたちを片目でにらむと、水原さんと共に屋上へ行った。
屋上に着くと、水原さんがさっきのことを聞いてきた。
「ねェ、さっき何話してたの?」
「み、水原さんは知らなくていいんです!」
そう言って不服そうな顔をしている水原さんと違う方を向くと、さっき香坂さんたちに言われた言葉を思い出してみた。
――――それはね、可奈に恋したからよ。
知らず知らずの間に顔が赤くなって、それをまぎらわすためにヤキソバパンを口に頬張ってみる。でも、それはおさまらなくて。
「・・・まぁ、そういう結論でもいいか。」
『恋』。
今ハッキリと可奈への想いに名前を付けられた燈馬の頬は、まだほんのり赤かったという。
<完>