四国四兄弟

□君をたとえる3題  3、処方薬より良く効くくすり 
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ついにラストで東都。恋人設定。
お題は【Fortune Fate】様からお借りしました。



処方薬より良く効くくすり


風邪をひいてしまった。よりによって、京都さんの家に来ているときに。

元々、少し熱っぽかったが、やっと自分と京都さんの都合がついて、会えることになったのだ。それを風邪だと言って止めるわけにはいかない。恋人同士の、貴重な時間なのだから。

だが、京都さんの家に着いた瞬間倒れてしまった。流石の京都さんも驚いた顔をしてこちらに駆け寄り、僕はあぁ、今日までの仕事を片付けるために72時間ぶっちぎりで仕事してたからか・・・と考えたりもしていたけれど、すぐにそんな余裕はなくなった。


こんな自分に、嫌な顔ひとつ見せずに看病をしてくれている京都さんが切なくて、自分が情けなかった。

やがて、少し落ち着いてきたころ、黙っていた京都さんが口を開いた。


「東京はんは、」
そんな体であっても、
うちに会いに来たいんどすか―――?


・・・当てられた。しかし、ここで口を開くと駄目な気がしたので、黙って次の京都さんの言葉を聞いていた。


「東京はん」


―――京都さんは、それしか言わなかった。言わなかったけど、僕を見るその瞳で、すべてが分かった気がした。


―――具合が悪いんだったら、無理して会いにこないでください。
あなたが倒れると、私の心も苦しいの―――。


間違いかもしれない。けど、僕にはそう言っているように聞こえた。

いつものような強気な顔の中に、少し心配の色の見せて、こちらを覗き込んでいる京都さんを見て、分かりました、と薄く微笑んだ。

京都さんがほっとするような顔を見た気がしたが、そのあとすぐに僕の意識は眠りの中に沈んでいった。


次の日、すっかり回復した僕は東京に帰らなければならないことを思い出し、朝からバタバタと帰る準備をしていた。

京都さんの部屋へとつながる、古いふすまを開けて眠っている京都さんを見た。いつもならとっくに起きている時間だが、昨日のことを考えると、仕方ない。


そっと枕元に歩み寄って、時間に少しばかりの余裕があるのを確認してから、ありがとうございました、と彼女の額にくちずけをした。


(処方薬より良く効くくすり)
(どんな病気にも、あなたが一番です)
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