NOVEL

□死んだはず
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階段の下に倒れているのは、
明らかに俺、日向奈癒である。一応女。でも一人称は俺。

しかし妙だ…
意識は確かにあるのだが身体は全く俺の脳からの指令を無視している。

視界に写るのは俺が大嫌いな人間達と野次馬。

ちょっと何があったか振り返ってみよう…











ここは某田ノ中中学校

の吹奏楽部。

確かホール練習のために楽器を4階から1階まで下ろし運んでいたはず。

俺は机を運んでいたら頭上から何かが落ちてきた。

「痛ッ…」

床にマレットが落ちた。

階段の方を見上げると俺の大嫌いな人間、
わかりやすく言うと私をいじめてる人間。

踊り場で仁王立ちになり俺を睨んでいる。

「日向もっと働けや」

そう言うお前が働けや

いつも俺は心中に言葉を隠して大概のことは無視していたが。

「お前の楽器トラックに運んでやったよ。感謝しろよ!」

「俺の楽器はバス!しかもまだトラック来てねぇよ」
「馬鹿か!?ゴミ収集車だよ!ゴミ収集車!」

あ、

これ流石にキレた。

俺は床に落ちたマレットを踊り場で仁王立ちするソイツにぶん投げた。

「馬鹿!馬鹿!てめぇ!死ね!棒一本しか運ばねぇお前は死ね!死ね!」

今まで思っていた事を吐き出した。
しかし相手も黙らなかった。

「いつも黙ってんだからスルーしろや!!!」

「しるか馬鹿!威張るんならその後ろのティンパニー投げてみろ!」

ジョークで言ったはずだった。

でも次の瞬間、火事場の馬鹿力を出したソイツは俺に向けてあの重いティンパニーを容赦なく投げてきた。

逃げることができずにそのままティンパニーの直撃をくらった。











そうだ、

そうそう、

ティンパニー投げられて

それが俺の頭にクリティカルヒットした。

てか意識薄いや…

頭痛いし…

そういえば冷蔵庫の中にクリームプリン入れっぱだ…

亜癒がが食ってたら絶対殺してやる…

頭痛い…











俺の意識はそこで途絶えた。

気づいたらどこかのマンションの一室にいた。

(…あれ?確か部活だったはず…)


これが物語の始まりだった。

死んだはず fin.



 

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