呆れるほどの愛を、キミに
□もはやストーカー
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「……あ!」
声を上げたのは一氏。何事かと彼の方を見る。
「そういえばあん時、財前がドラマ見とって……」
『財前、何見とんねん?』
『昼ドラっスわ』
小春を取られた一氏は近くでケータイワンセグをつないでいた財前に声をかけた。
『どんな内容?』
『勝手に決められた婚約者とのドロドロとした恋愛』
『それや!』
『『!?』』
いきなり白石が叫んだので2人は驚いた。
それを気にせず、彼はどこかに走り去ったという。
「それしかない。あん時の白石の目ぇ、本気そうやったし」
そんなので人を勝手に婚約者にする奴なんているのだろうか。あ、いたね。白石君がそうだよね。
てか、財前は故意じゃなくても人の邪魔をするんだね。天然悪魔だね。
それから2人に頑張れとか、辛くなったら言うんやでなどと応援されて学校へ向かう。
その間もカメラのレンズは私を捕えていた。
教室に入り、自分の席に着く。隣には小石川の姿。
「おはよー」
「おう、おはようさん」
「小石川って、テニス部の副部長だよね?」
「そうやで」
「トップがあれで悲しくないの?」
扉の方を指すとサッとカメラが隠れる。
それよりも少し遅めに小石川は扉の方を見るが、昨日もそうだったので何が言いたいかは伝わっている。